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屋外イベントでヒロインが足を怪我⇒おんぶってパターンよくあるよね。

そろそろネタ切れ感が否めない。

前回までの文芸部1年の田島君を高校デビューさせるために服を買いに行くイベントは無事に終了した。

元々服を買いに行くだけの予定だったが、美容院にまで引っ張っていかれて田島君は高校デビューならぬ新入部員歓迎会デビューを果たした。


・・・挙動不審は相変わらずだけど。


さて、そんなこんながあって5月中旬、文芸部の新入部員歓迎会バーベキューが行われることになった。

建前上は休日に実施される非公式イベントとはいえ、火器とか使って大丈夫なのか?


そんな疑問はともかく俺は1年新入部員の女子、木ノ(きのうち)茉莉花(まりか)とバーベキュー会場の近くにあるスーパーに買い出しに行っていた。他のメンバーは色々と準備をしているので買い出しは二人だけだ。



「かっいもの~かっいもの~~~♪」

楽しそうに鼻歌を歌いながら隣を歩くのは1年の木ノ内さん。

適当に食べたいものをバンバンと買い物かごにぶち込んでいく。

「いや、肉だけで十分だよ?飲み物は各自飲みたいもの持参してるし、野菜系はあらかじめ副部長が切って持ってきてくれてるから」

「あっ!そうでしたね。ていうかそれじゃあ野菜コーナー回らないでくださいよ~!」

「いや、普通スーパーって入口が野菜コーナーだから・・・肉のコーナーは大体奥にあるんだよ」

「そんなの知らないし~~~!!でも意外と内田先輩って物知りですね!」

「・・・微妙にほめても何も出ないぞ」

「いいじゃないですか~~~減るもんでもないですし!」


そんな軽口を叩きながら俺たちは買い物を済ませ、みんなが待つバーベキュー広場へと向かった。

「肉だけなのに結構な量になりましたね~!早く食べたいなー!」

「そうだな。見てたらお腹減ってきたしね」

「・・・あっ!」

突然叫んだかと思うと彼女は派手に地面へ転んだ。

・・・いや、普通の平坦な道なんだけど?

というツッコミはともかく、平坦な道でもつまずいて転んだ経験は俺もあるんで彼女に向って屈み込む。

「大丈夫?」

「大丈夫!!」

笑顔で立ち上がろうとしたら彼女がよろけて俺にもたれかかってきた

「大丈夫じゃない~~~・・・」


あー始まったよラブコメフラグ。


と、思いつつも足をくじいて立つのも辛そうだ。

「とりあえず肩を貸すから、頑張って広場まで行こうか」

「えっそこはおんぶじゃないんですか?」

「それだけ喋れるようだと大丈夫そうだな、じゃあ先に一人で行くぞ」

「・・・」

無言で彼女が圧力をかけてくる。いや、どっちかっていうと悲しそうだ。

「いや、ごめん。でもおんぶは荷物あるから我慢して」

「・・・うん。あ、はい。すいません」

「気にしなくていいよ。俺の方こそごめん」

そういって俺は彼女に肩を貸しながら広場へと向かった。


「『---肩を貸して歩く、つまり彼女と密着している状態で俺たちは歩いている。俺は彼女から柔らかい胸の感触が伝わってきて、恥ずかしい気持ちでいっぱいになった』」


「・・・何いきなりモノローグ風に語ってんの?」

俺は嘆息しつつ彼女にツッコミを入れると、ニヤニヤしながらこちらを見てきた。

「いや、なんとなくそういう展開かな~って思って」

「お前やっぱ一人で歩けよ!俺は一人で行く!!」

「えー冗談ですよ!ていうか『お前』じゃなくて『まりちゃん』って呼んでください!口が悪くなってますよ!!」

「まりちゃん!いい!一人で歩くの!ママ先に行くからね!!」

「えーーー!ママ行かないでー!!」

ふざけたやりとりをした後、しばらく無言で広場まで向かった。


「・・・内田先輩、シャンプーのいい匂いしますね」

「・・・こういうイベントのある日は朝お風呂に入ってるからな」

「へぇ・・・パパと同じだ」

「・・・ママの次はパパかよ」

苦笑いを浮かべながら俺は答えた。

「私も今朝お風呂に入ってきたんですよ?シャンプーの匂いするでしょ?」

「・・・ほんとだ」

「でしょでしょ?」

「『ヘンタイ』とかツッコんでこないのな。珍しい」

「また先に行くとか言われたら困りますんで~~~!」


そのとき、ふと思ったことを口にした。

「そういえば木ノ内さん」

「ん?」

「もし、ラブコメ漫画とかにいたら、木ノ内さんのポジションって絶対に当て馬にされる負けヒロインだよね」

「は???いきなり失礼過ぎじゃないですか??」

「いや、マジで。これどっちかっていうと心配して言ってあげてんの」

「ご心配ありがとうございますー!!もう一人で歩けるんで大丈夫です!!!」

明らかな怒りを込めた口調で彼女は俺から離れた。


よし!フラグ回避!!

なんて喜びながらも、俺は彼女に酷いことを言ってしまったんじゃないかと後悔している。


「・・・一人で歩けますけど荷物は持ってくださいよ?」

彼女は上目遣いで俺に言ってきた。

「もちろん。任せとけ」

「えへへ、先輩ってなんだかんだでちょろいですよね!」

「え?なんだって?荷物全部持ってくれるって聞こえたような気がするんだけど??」

「ごめんなさい~~~!!」


そんなふざけた会話をしながら俺たちは無事みんなと合流し、バーベキューを楽しんだ。

喜んでいいのか、その後は特に怪しげなフラグも立つことなかった。


しかし神様もなかなか唐突にラブコメフラグを立ててきて油断も隙も無いな。

いい加減、こんな神様の茶番には本気で決着をつけないと。だな。


そう思いながら俺は帰路に着いた。



本日のフラグ回避:成功?


この屋外で足を痛める系のやつって、おんぶして

少女漫画⇒「〇〇君のシャンプーの匂い・・・zzz」

少年漫画⇒「おんぶすると、二つの柔らかな感触が(略)」

ってパターンになると思うんですよ。偏見ですけど。個人的に好きです。

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