ファミレスにて ~来るべきフラグを回避~
一応メインとなるストーリーは考えているんですが、いかに主人公がラブコメフラグ回避をするか、ということに頭を悩ませながら書いてます。
文芸部の部活が終わった後、俺は同じ文芸部員かつ同じクラスの2年の山下怜奈とファミレスに立ち寄っていた。
ドリンクバーを注文し、彼女は飲み物を片手に席に着いて口を開いた。
「梅雨入りする前にさ。文芸部の新入部員歓迎会でバーベキューしようと思うんだ」
「あぁ、そういえば去年も俺たちも歓迎会と称して河川敷でバーベキューやったな」
おおよそ文芸部とは思えないようなアウトドアな歓迎会で驚いたのを覚えている。
「で、来週か再来週の土曜日にやるんだけど、内田って大丈夫な日ある?」
「ああ、どちらでもOKだ」
「よかった!じゃあみんなの予定聞いてまた決まったら連絡するね!」
「おっけぃ」
「あと当日の買い出しだけど、1年の茉莉花ちゃんと行ってきて」
「え、木ノ内さんと?」
「ほら、去年もそうだったじゃん!1年女子と2年男子で買い出しに行って、新入部員が欲しいものを決めて先輩が荷物持ちしてたでしょ!」
「あぁ・・・そういえばそうだったな」
平静に反応しつつも、俺は少し白目を剥きそうになった。
木ノ内茉莉花と買い出しか・・・絶対なんかフラグ立ちそうじゃん。
そういえば1年にはもう一人、男子がいることを思い出した
「新入部員って男子も一人いただろ?そいつは買い出しに来ないのか?」
「田島君は部長と一緒に行動するから。ていうかもう役割決まってるから」
「え、マジで。田島君と部長のBLとか美味しくないじゃん。しかも俺と木ノ内さんのカップリングとか何で勝手にフラグ立てられてんの?」
「フラグ??」
やべっ。うっかり色々口走ってしまった。
「まぁ別に構わないけどあれだな。1年女子と二人で買い出しとか恥ずかしいから出来たら男子二人で行きたいな。ちなみにBLじゃないぞ。で、事前に買いたいものを聞いておくってのはどうだ?男子二人だったら荷物持ちとしてもいっぱい買ってこれるしな。田島君と木ノ内さん交換しようぜ。部長も喜ぶだろ。木ノ内さん可愛いし」
俺は気持ち早口でまくし立てるように山下に言った。
「いや、私もその方がいいと思ったんだけど。木ノ内さんが買い出し行きたいって凄いノリノリで」
マジかよ。なんか詰んできてるじゃん。
「じゃあ部長と俺が交代でもいいじゃね?」
「部長は肩を痛めてるみたいで重い荷物は持てないんだって」
なんでやねん。文芸部なのに肩痛めるとか。野球部掛け持ちでもしてんのか。
「山下も一緒に来るのはどう?荷物持ちは申し訳ないけど、やっぱ俺のコミュ力じゃ二人で行くのは彼女が辛いと思うんだ」
なんとしてでも木ノ内茉莉花との二人だけというのは避けなければ。
その一心で俺は恥じ入るように彼女に訴えた。
「え・・・私と一緒がいいの?」
いやなんでちょっと顔が紅潮してるんだよ。
「いや、さすがに新入部員の女子と二人で買い出しは気まずいだろ。俺結構人見知りだし。頼むよ」
彼女は少しだけ考えた後、口を開いた。
「確かに去年は私と部長で二人だったけど、部長も私も人見知りしないタイプだったからね・・・明日部長に相談してみよっか」
「そうだな」
こうして会話が終わりそうになった時、彼女がふと口を開いた。
「内田ってさ」
「うん?」
「さっき茉莉花ちゃんのこと可愛いって言ってたけど、ああいう子がタイプなんだ」
うげぇ!なにその露骨な発言!!
「いや、あの子は普通に可愛いだろ。なんで文芸部にいるのって言う感じじゃね?」
「まぁそうだけどさ」
「なんなら山下も文芸部にいるタイプじゃないと思うけどな。クラスでも男子からは山下のこと可愛いって評判だし」
「・・・ふーん」
照れ隠しなのかそっけない態度をとられた。
と、思ったら彼女は少し悪戯っぽい顔を俺に向けてきた。
「ねえ、内田は私のこと可愛いって思う?」
「まぁアイドルグループの端で踊ってる女の子ぐらいには可愛いんじゃね?」
「はぁ?なにその微妙な例え」
俺は微笑しながら答えた。
「"悪くはない"ってこと」
彼女は失笑気味に答えた。
「まぁ好意的に受け取っとくよ」
・・・たぶん、うまく受け流したと思う。
こうしてその日のファミレスは終了した。
今回のフラグ回避:成功?
文章書くのって難しいですね。