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佐渡尚は冴えない男子 その1

はじめに

※注意! 

この作品は、作者が暇すぎて困り果てた結果生まれてしまったものです。ですので、物凄い伏線や深い心理描写などを期待している方は他の作品を楽しむことをお勧めします。


以上のことを踏まえた上、お楽しみください!


 「すっ、好きです! 付き合ってください!」

 斜陽が差し込む校舎裏。黒崎未白(くろさきみしろ)は僕に頭を下げて謝った。


「ごめんなさいっ! えっと、その……。(なお)くんはそういう風に、見れないから……」


 予想通りの答え。「いや、もしかしたらワンチャンあるかも!」だなんて、そんなことは決してなかった。


 まあ、動機が不純だったからかな、と自分に言い聞かせて納得した。友達に(はや)し立てられて告白に踏み出した小心者の僕にはまだまだ早すぎる幸福だったのだろう。それに、ロケーションにも問題があった。校舎裏は告白の定番と思われがちだが、こんなに薄暗くて目立たない所。雰囲気作りは大失敗である。


 黒崎は、赤らめた頬を僕に見せないように俯き、沈黙を貫く。気まずく感じているのか、帰るタイミングを伺っているようだった。そんな彼女の所作からは、「天使」のあだ名故の優しさが滲み出ていて、申し訳なさとやるせなさが募っていく。いくら優しい彼女と言えど、断られた以上、潔く諦めるほかない。


「も、もう、帰って大丈夫だから……」

「うん……。尚くん、ごめんね。それじゃ、また明日……」


 黒崎は僕に小さく手を振ると、背を向けた。間違いない。僕は彼女のその優しさに心底惚れていたんだ。自分が振った相手すらも気遣えてしまう、そんな優しさが自然と僕を笑顔にする。


 しかし、悔しく辛いのも事実で、過剰に分泌する唾液と颯爽と立ち去る彼女の背中が、後味の悪い悪寒となって、僕の背筋を震わせた。


 硬くなった太ももの筋肉をゆっくりと伸ばして、深く息を吐く。速くなった鼓動。身体(からだ)中を血液が駆け巡り、高くなった体温が心地よく感じてくる頃、僕、佐渡尚(さわたりなお)は残念ながらも、確かに成長を感じていた。

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