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作者: スーホ

深夜の中古車屋は少しだけ気味が悪い。


たくさんの車が並び、防犯のために所々に明かりが取り付けられており、基本的に闇は薄い。

暗い街の中で、その一角だけふわりと明るくなっている。

明るいと言っても、照明がたくさん付いているわけではなく、要所要所に配置されているだけなのでそれだけ影も多くある。



気になっているのは、ある車の一台に人が座っているように見える事だ。

その車は車内が少しだけ明るくて、人が運転席に座っているのがかろうじて見える。

室内灯ではなく、街灯や中古車屋の明かりが微妙に届いているのだ。

運転席の人物は性別もよくわからない。

俯いているのか、顔がはっきりと見えない。

もしかすると、それはシートが光の加減で人のように見えるだけなのかもしれない。



昨今の中古車で悪質なニコイチ、サンコイチなんてものが流通しているのかどうかわからないが、中には死亡事故があった<いわくつき>

な車両だってあるのかもしれない。

以前のオーナーにどういう使われ方をした車なのか、その詳細な素性まではなかなかわからない。

そう考えると、いろいろと不安になってしまう。



私が深夜の犬の散歩でその中古車屋を通る時に、初めてその人物に気がついたのは3日前だ。

そしてこの3日間は毎晩、人影を確認している。

毎晩、同じ車に同じような人影が微動だにせずに座っているのだ。


その中古車屋は提携する同業者と商品の融通をしているのか、それともオーナーが他にも店舗を経営しているのかはわからないが、展示される車が割と頻繁に入れ替わる。

その車は3日より以前からあったのかどうかはわからない。


この中古車屋は近くで不気味な影を目撃した事もあるし、何軒か隣には深夜に玄関ドアが開けっ放しのアパートがある。



中古車の中の人影が、ただの思い過ごしで無かったとしても、今のところ自分の身に何か不幸が起こっているわけではない。

全てが気のせいだと言えばそれで済む話のような気もする。


愛犬の散歩コースを変えれば済む話でもある。

ただ、国道沿いは明かりが多く歩くのも犬の糞の処理をするのにも好都合であり、コースを変更するべきかどうか悩んでいる。



中古車業界をディスる意図はありません。念のために。

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― 新着の感想 ―
[一言] いいですねえ。 つい最後まで読んでしまいました。
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