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プロローグ
【聖女と魔女の秤ごと】
♦プロローグ♦
それは、前代未聞となった召喚の儀での事件。
召喚の魔法陣に、ある筈のない異分子による介入。
聖女を異界より召喚した魔術師は茫然と立ち尽くし、儀式を見守っていた王子は口を噤み、護衛の任に就いていた騎士は咄嗟に抜刀してその剣先を闖入者の喉元に向けた。
魔法陣の中には、本来一人である筈の聖女の他に、まるで魔女のような容姿を持った女がいたからだ。
その場は、我に返った王子により騎士の剣は止められる。
召喚されたのは、二人の対照的な女。
聖女に相応しい漆黒の髪を持った楚々とした女と、魔女のように派手な赤髪と挙措が荒々しい女。
赤髪の女は、聖女と呼ぶには苛烈で。
しかし。
魔女と呼ぶには―――…。
よくある巻き込まれ系??