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自殺探偵  作者: きのこシチュー
2/20

case1.自殺トリックを暴く者-2


「『アパートの一室で首吊り遺体を発見。原因は浮気か?』…えーっと、発見現場は加賀瀬尾市夕顔町二丁目、被害者名は東阪青葉とうさかあおば。性別は女。足元に遺書があり、それには「彼氏が浮気した もう嫌だ 死にます」と書いてあった、…か。どの辺が不審なんだ?」

神在は大庭が指差した記事をつらつらと読み上げた。

遺書以降の記事は「最近市内で自殺者が増えている」と続くため、彼は意図的に割愛した。

「不審?俺は自殺が絡む事件全てに首を突っ込むだけだが?」

大庭は、さも当たり前のようにそう言って、事務所の外階段を降りて行く。

此処、大庭探偵事務所は、三階建て建物の二階三階に入っている。二階は事務所、三階は生活スペースとなっている。

二階へ登るには外階段を使う他にない。

ちなみに一階にはうどん屋が入っている。大庭はここのうどんをあまり食べた事はないが、神在によると美味しいとのこと。

「はぁ…まあお前らしいと言えばそうか。で、これから何処へ向かうんだ?現場か?」

神在はため息を吐きながら大庭の後を追う。

「うんにゃ、新聞記事になってるって事は恐らく死体は回収済みだろう。死体安置所へ行くぞ。その後現場だ」

「まあそりゃそうか。了解。付いてくぜ」

そうして、二人は街のほぼ真ん中に位置する警察署—『加賀瀬尾警察署』の死体安置所へ向かって行った。


しかしまあ当たり前のように受付で揉める大庭である。

「死体安置所に通せ」

「どちら様ですか…」

というやり取りをずっと続けている。

所謂質問の堂々巡りというやつである。

神在は呆れながら、しかしちゃんとやってくれるだろうと信じ放置していた。が、5分経ったところで状況は変わらなかった為に、彼は痺れを切らし、仲介へ入ろうとした…というところで、大庭は神在から新聞を奪い、例の記事を受付に見せてこう言った。

「この死体はあるか?」

受付はギョッとしたような顔で「何故ですか?」と尋ねる。

当然の反応であるが、大庭はその言葉を聞いて、何も言わずツカツカと受付の横を通り過ぎようとする。

「ちょ、ちょっと待ってください!まだ受付が済んで」

「さっきの反応からみてあるんだろう?死体」

受付の方へ振り返りながら大庭はそう言い放つ。

その何の迷いのない、まっすぐなセリフに受付は面食らう。

しかしすぐさま次の質問を投げつける。

「あ、貴方誰なんですか?!」


「ああ、名乗らなかったか。俺は大庭睦月。

——自殺探偵だ。」



ちなみに、受付は死体の事など何も知らない一介の事務員である。

あと、ちゃんとした受付は神在がした。






——死体安置所。

そこには、一つの死体がベッドの上に横たわっていた。

職員によると、この死体は昨日の夕方から夜にかけての時間帯に見つかっており、まだ日が経っていないとの事。第一発見者は大家さん。

また、遺族とは聴取が行われたが、彼女の自殺の原因だと思われる彼氏・間宮智史まみやさとしとはまだ聴取が行われていないらしい。

「…彼氏が怪しいところか?まあまだ他殺と決まった訳ではないが…」

神在はそうポツリと呟くが、先に横たわった東阪青葉の死体を観察していた大庭は「いや、」とその意見を否定した。


「…何か分かったのか、大庭」


「ああ。分かった。」


事務所を出た時から変わらない無表情にも似たその顔のまま、彼はこう告げる。



「これは自殺じゃない。


——他殺だ。


そして、





()()()()()()()()()()()()。」




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