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ぶっちゃけ、後書きの方がチカラが入っていると思う人、手を挙げて。
( ´ ▽ ` )ノ
ミリアナが出た後、僕は外着に着替えると武器屋に向かう。予備の武器の斬れ味が悪くなったり傷が付いたりしているので修理を依頼しようと思ったのだ。
「すみません。店主の方はいらっしゃいますか?」
「あん?その声はユランか?いつ帰ってきたんだ?」
「昨日です」
「そうか。まあ戻ったんなら嬢ちゃんとなるべく一緒にいてやんな。お前が旅に出てから(勇者に絡まれて)疲れた顔をしてたからな」
そっか・・・・僕がいなかっただけでそんな顔をさせてしまっていたんだ。だったらもうそんな顔をさせないようにしないと。こんな僕を好きになってくれたんだから幸せにしないと。
「それで、武器はどんな具合なんだ?」
「あ、こんな感じです」
そう言ってボロボロになった武器を見せる。その瞬間、オヤジさんに殴られた。
「この、バカモン!!物は大切にせいと教わらんかったんか!!」
ああ、この感じ、帰ってきたって感じがする。
「これでも長く持たせた方なんですよ。それに、ちゃんと生きて帰ってきましたよ」
「・・・・それもそうか」
この武器屋のおじさんはどれだけ乱暴に武器を使っても、最終的に帰ってきさえすればあまり怒らない。やっぱり自分が作った武器を乱暴に使われるのはイラッとするらしいが、生きて帰って来さえすればあまり怒らない。
とはいっても、「壊れたら買い直せばいい」と言っている人達にはそもそも武器を売らない。そんな人だ。
「ったく。それで、予備の武器はちゃんと持っているんだろうな。見た感じ予備の武器として買わせたものだと記憶しているんだが」
「あ、それは予備の武器を使っていましたので、主力の武器はいま装備してます」
「そうか・・・・まあ、なんだ。オマエが無事に帰ってきたんなら嬢ちゃんの笑顔が見られる。だから、今回は無料でいいぞ」
「え?でも、そんな」
「いいから早く出てけ!!明日取りに来い。それまでに直しておいてやる。わかったな!!」
「は、はい!!」
そう言って僕は慌てて武器屋を出ていった。・・・僕、何か怒らせるようなことしたかな?
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「ったく、やっと行ったか」
「アンタもたいがい面倒な性格してるねぇ」
「なんだ母ちゃん」
ニヤニヤしながら俺を見るんじゃねぇ!!
「嬉しかったんだろう?久し振りにユランの奴に会えたことがさぁ」
「・・・・フン。なんのことだか」
まぁ、ただでさえ少なかった顧客の1人が帰ってきたんだ。そりゃ嬉しくもなるだろう。
「まったく、本当に素直じゃないんだから」
「言ってろ」
ったく・・・・・・・・よく帰ってきたな。
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武器屋のおじさんに追い出されるように店を出ると、僕はそのまま冒険者ギルドに向かう。その途中、ミリアナが勇者様に告白されたという噂を聞いた。そのとき、僕は一瞬だけ動揺したが、その後すぐに告白を断ったことも聞いてなんとか持ち直せた。
そうだよなぁ。ミリアナは僕にもったいないくらい綺麗なんだよなぁ。それに、勇者様なんかと比べ物にならないくらい強いし。そんなことを考えながら冒険者ギルドの門を開ける。すると、受付でミリアナが他の冒険者に説明しているのが見えた。
「あ、ミ・・・じゃなくてミアナ」
危ない危ない。間違えていつも通りミリアナって呼ぼうとしてたよ。
「ユラン!!」
こちらに気づいたミリアナが裏から後輩の人らしき職員を呼ぶと受付に座らせ、そして僕の下に走ってきた。
「ユラン!!やっと来たの?」
「うん。ついさっき武器の修理が終わったんだ。武器屋に行かないと直せない傷があったからね」
「私、これから昼休憩なんだけど、お昼一緒にどう?」
「うんわかった。なら僕は適当になにか買ってきて」
来るよ。と言いきる前に、ミリアナがカバンを突き出してきた。
「お弁当作ってたから買わなくていいわよ。まあ、どうしても食べたいものがあるんなら1つか2つくらいは許すけど」
「アハハ。お弁当があるならいいです」
「それじゃ、まだ時間じゃないからこれ持って待ってて」
そう言ってカバンを僕に渡すと、ミリアナは自分がいた受付に戻って行った。どうやらトラブルが発生したらしい。
ミリアナの仕事をしている姿を見ながら暇を潰そうとしていると、見知った顔の冒険者達が話しかけてきた。
「よぉ、久し振りだな。元気にしてるか?」
「修行の旅に出たんだって?かぁぁぁ。いいねぇ。おじさんそういうの好きだよ」
「あ、うん。ありがとう。あと、モランさんはまだおじさんって歳じゃないと思うよ?」
「いいんだよ。俺はおじさんってことでさぁ。それよりも、なんで旅に出たんだ?ミアナちゃんに鍛えられて結構強くなったはずでしょ?」
「そ、それは」
「何言ってんだ。そのミアナちゃんのために決まってんじゃないか。ユランはミアナちゃんの恋人なんだからさあ」
う、改めて言われると、なんか恥ずかしいなぁ。
「まあ気を付けろよ。なんでも勇者がミアナちゃんを狙っているらしいからな」
やっぱり、そうなんだ・・・・。
「まぁ、でも大丈夫だろ。ミアナちゃんを酔い潰そうと思ったらドワーフの火酒を一晩中飲ませても足りないらしいし、俺の仲間が勇者がミアナちゃんにスキルを使ったのを感知したけど、それを全部無力化していたらしいからさぁ」
ほんと、ミリアナには敵わないよ。
「でも、油断するんじゃねぇぞ。流石にそこまではしないと思うんだが、オマエを人質に取られたら抵抗できないからな」
「え?勇者様だよね?」
「それがな、以前この街に魔王軍が攻めてきたんだが、なんかおかしかったんだよな」
「なにかって?」
「なんか、勇者っていう割には弱かったんだよな。ドラゴン討伐しか受けないのも怪しいし」
「そういえば俺も気になってたんだよな。なんかギルマスと戦っていたときも違和感があったんだよな。なんていうか、ギルマスが手を抜いていたような気がして」
「なんだ、オマエもそう思っていたのか。実はそうなんだよ。後で聞いたんだが、普段は槍なのにその日に限って槍の武器がなくなったから仕方なく剣で戦ったらしいぞ」
え?そうなの?
「って、ユランは観てないんだから知らないか。っと、そろそろミアナちゃんがこっちに来るな。俺たちは失礼するぜ。邪魔しちゃ悪いしな」
「それもそうだ。じゃあな、旅の話はゆっくり聞かせろよ」
「あ、うん。わかったよ」
そう言って冒険者達は去っていく。それと入れ替わるようにミリアナがやって来た。
「ユラン!!お昼休憩になったから一緒に食べましょう?」
「う、うん。わかった」
ミリアナに手を引かれながら門を出る。
・・・初めて見る冒険者達からの視線が痛かった。
???「畏怖せよ!!敬え!!私こそが、本当の、神だ!!」
それで、なんであの勇者にあんなスキル渡したんですか?
???「いや、こっちの勝手で呼び出したんだから欲しいスキルなら渡してもいいかなぁって思って」
その結果、こうなっているんでしょう、が!!
ゴチンッ!!(←ゲンコツの音)
???「あう。で、でも、ミリアナがいるんだから大丈夫だろ!?悪いように使おうとしたらどうにかしてくれるはずだから」
人任せに、するな!!
ゴチンッ(←2発目のゲンコツ)
???「あう!!な、殴らなくたっていいじゃないか!!」
痛いか!!
???「痛くないと思っているのか!!」
殴った側の心は、もっと痛い!!
???「わけわからんこと言うな!!あと、それが本当なら殴らなければいいじゃないか!!」
それが為になるのであれば、心をどこまでも鬼にしましょう。
???「ふざけんな!!『神剣 チャンロン』!!」
ほう、それは7回攻撃を当てれば自分に有利な効果を発揮するというパクリの剣!!
???「パクリ言うな!!」
(BGM)〜パクリ剣を取り出した???、うなじにとって優勢だった状況が一気に覆る。そんなとき、パクリ剣の真のチカラが発揮される。お願い、立ってうなじ!!それを耐えればアナタは勝てる!!
次週、うなじを殴る。OoOO スタンバイ♪
???「それがパクリだ!!」