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夏のとある一日

最近暑いですね

 暑い。

 蝉がミンミンと鳴く音が耳に残り、くわえたアイスが汗のように滴り落ちる。世間はもう夏で俺も夏休みを堪能していた。しかし今月はお金を使いすぎたので、少しでも節約しようとクーラーを切ったのだがもう無理だ。

 窓を閉め切りクーラーを全開にする。フル稼働。パワー全開。部屋の中は一瞬で氷河期のように冷え込んだ。あ~生き返る。

 そんなときピンポーンとチャイムの音が聞こえる。平らげたアイスをごみ箱に放り投げ、玄関へと向かった。


「はーいどちら様?」

「ヘイ! 鈴木竜一!」

「遊びに来たぞ同志鈴木‼」


 ずいぶんと騒がしい二人が来てしまった。

 とりあえず部屋に入れてきんきんに冷えた麦茶を出す。


「うまい! やっぱり夏は麦茶だね!」

「体中に染みわたるぞー‼」


 とてもやかましい。大家さんから苦情が来るかもしれない。


「何だが珍しい組み合わせだな」

「ふふふ、何を隠そう私たちは――」

「以前の勉強会で親交を深めた――」

「「お馬鹿同盟‼」」


 誇らしげに言うことじゃないと思うんだけどなー。

 あの地獄のような勉強会の中で二人はひっそりと友情を育んでいたらしい。

よかったな蚊藤。お前も友達増えて。


「何故か小ばかにされてるような気がするが……まあいい‼ ゲームするぞ! 我退屈で死にそうだった! かまってかまって‼」

「私も‼ 私もだよ‼」


 この二人、蝉よりうるさいってどういうことだよ。

 二人を鎮めるため対戦ゲームを取り出す。スモブラでいいだろう、多種多様のお相撲さんが戦うという、現在話題沸騰中のゲームだ――まあ独特で味のあるゲームだと思ったよ。


「どんなゲームであろうと我は負けぬ!」

「へっへーん。ゲームセンターでこういうゲームは勉強したんだよ」


 氷さんはゲームさえやったことなかったのに、火富さんは結構やりこんでるんだよなあ。

 ――その氷さんも今じゃうちにあるゲームで最強クラスなんだよね。やっぱり負けず嫌いの人って成長するよ……。


「我は肉肉マン最強のウルフだ‼」

「私はサイキョウファイターのエドだよ‼」


 最初は両者一歩も引かず、白熱した試合が繰り広げられる。

 火富さんの隙のない攻めに蚊藤は防御することしかできない。


「くひひー! このまま攻めて攻めまくるよー!」

「まだまだ、勝負はここからだ」


 だがさすがはゲーマーの蚊藤だ。攻めっ気の強い火富さんの動きを見切ってしまいさし返し中心の戦法へと切り替える。


「くぅー! 何で当たらないんだよぉ!」

「ふはは」


 やがてウルフの徳利投げによってエドは倒されてしまい、画面にでかでかと決着と表示される。

 蚊藤はうるさい遠吠えを上げ、火富さんは泣きわめきながら床を叩いた。


「もう一回! もう一回やろ! 次は負けないから」

「いいだろう。何度でもかかってくるがいい‼」

「あー……ちょっといいかな?」

「「何!?」」


 こちら睨みつけてきた二人だが、その顔が一瞬で青ざめる。

 にこやかに笑う氷さんと香取さんが立っていることに気づいたからだ。

 二人が大騒ぎすることを見越して連絡しておいたのだが、それが功を成したらしい。


「こ……氷ちゃん……」

「鈴木君に迷惑かけちゃダメっていつも言ってるよね?」

「か……香取ぃ……」

「あんたはいつもいつも馬鹿騒ぎして……!」


 二人はたっぷり叱られた。

 その後、みんなでいっぱいゲームした。



思いつくがままのんびり投稿

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