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ぼっちの俺が助けた相手は学園一の美少女でした。だけど世の中いい事ばかりじゃない  作者: どじょっち
ぼっちだった俺が勉強会に参加することになった
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それぞれの想い

がんばって投稿。

 --男部屋。


 何とか胃袋は生還した。

 さすがに男女同じ部屋で寝泊まりするわけにはいかないので、蚊藤と和室に案内された。

 すでに布団が敷かれており、テレビとちゃぶ台が備え付けられているため、まるで修学旅行で泊まる旅館のようだった。


「今日は疲れたな」

「まったくだ」


 ちゃぶ台に置かれていた煎餅をかじりながらテレビをつける。

 面白くないバラエティ番組が静かな部屋をにぎやかにしてくれた。


「――さて同志鈴木よ。自由時間となったわけだが、何をするかはわかっているな?」

「ふっ、もちろんだ」

「話が早い――いざ‼」

 

 お互い同時にリュックに手を突き刺し、ゲーム機を引き抜く。


「「どっちが上か勝負だ‼」」


 こうして男のゲーム合戦が幕を開けた。



 ――女部屋。


「昨日会ったばかりなのにさ、泊めてもらってごめんね」

「いいってことさ」

「まさか、国民的アイドルのひとみんと一緒に眠れる日が来るなんて思わなかったわよ」

「こらこら言い方がよくない」


 火富と香取はあっという間に仲良くなっていた。

 元芸能人相手に物怖じせず普通に接してくれる香取は火富にとっても貴重な存在だったのだ。

 氷はそれを微笑ましそうに見ながら、猫矢と共にコーヒーを楽しんでいた。


「熱! それに苦いですわ……」

「冷ましてから飲むといいよ」

「申し訳ありません、土屋お姉さま」


 猫矢の言葉に土屋が不満そうになる。

 何か失言してしまったのではないかと猫矢はたじたじだった。


「前からずっと思っていたけど、猫矢さんにも名前で呼んでほしい」

「そ、そんな! 私が土屋お姉さまの名前を呼ぶなんて――!」

「――嫌なの?」


 猫矢には落ち込む氷からしゅんと垂れた子犬の耳が見えた。

 あまりの可愛さに鼻から何かあふれそうになるが、抑えて必死で耐える。

 それを見てきょとんと首をかしげる仕草がさらに猫矢の鼻を刺激した。


「どうしたの?」

「な、何でもありませんわ。ちょっと鼻がねじ曲がっただけです」

「本当に大丈夫?」

「――こほん。わかりました。ではこれからは氷お姉さまと呼ばせていただきますわ」

「うん、よろしい」


 満足そうな笑みに猫矢もつられて笑う。

 

「――ところであんたたちって鈴木が好きなの?」

「「ぶふっ!?」」

「にゃー‼」


 図星をつかれた氷と火富が同時に噴き出す。

 猫矢は盛大にコーヒーを浴びることになった。


「ととと突然何を言いだすんだ‼」

「やっぱりそうなんだ。あんたたちが鈴木と一緒にいるってよく聞いてたからなんでだろうと思っていたけど、好きだったら仕方ないわよね」

「うぅ……」


 猫矢の顔をタオルで拭いた後、氷は顔を真っ赤にして枕に顔をうずめてしまった。


「そういうキミこそどうなんだい!? あの蚊藤って子が好きなんでしょ!?」

「そ、そんにゃわけにゃいでしょ!? 誰があんな奴のことなんて――」


「二人とも落ち着いてください‼」

「「はい……」」


 三人は赤くなったまま黙り込んでしまった。

 猫矢は一人ため息をつく。


(じれったいですわね。自爆して恥ずかしがるぐらいならさっさと告白すればいいのですわ)


 後日、猫矢も三人の気持ちを理解することになるのだがそれは別のお話。


これ修学旅行だ。

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