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ぼっちの俺が助けた相手は学園一の美少女でした。だけど世の中いい事ばかりじゃない  作者: どじょっち
ぼっちの俺が学園一の美少女を助けてしまった
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弁当

「土屋お姉さま⁉」


 屋上にはすでに数人の女子生徒達がいた。見覚えがないため、土屋さんと同じクラスの人たちなのだろう。リーダーらしきツインテールの女子生徒は、俺を見た瞬間を猫のように威嚇してきた。

 心の中で猫娘と呼ぼう。


「ごめんなさい、今日は鈴木君と一緒にご飯を食べるから」

「そ……そんなお姉さま、こんなどこの馬の骨ともわからない男と何故⁉」

「彼のことをそんなふうに言うと許さないわよ?」


 猫娘はたじろぐと「うわーんお姉さまの馬鹿―!」と叫びながら階段を降りて行った。他の生徒も後に続き、屋上に残ったのは俺達だけになった。


「よ、よかったの?」

「いいのよ、キミもあんな言い方をされたら怒らないと」


 自分ではあまり気にしていなかったが、土屋さんは俺が侮辱されるのが気に入らないらしい。頬を膨らませ怒っていた。かわいい。


「ご、ごめん今度から気を付ける」

「あっキミが謝ることないよ。ごめんね、ご飯食べよっか」


 心地良い風を浴びながら一緒に座り、あらかじめコンビニで買っていたカツサンドを袋から取り出しかじりつく。

 相変わらずジューシーでおいしいな。やはりコンビニ製品は最高だ。

 じっくり味わっていたのだが、ふと気が付けば土屋さんは弁当箱を持ったまま目を点にしていた。


「キミのごはんってそれだけなの? それだけじゃお腹一杯にならないよ」

「ふ、普段からこんな感じなんだ、もう慣れたよ」



 親の仕送りをやりくりして何とか生活は問題なく過ごせている。

 バイトでもして収入があればもっと余裕を持てるのだろうが、面接時に緊張してしまって上手くしゃべれず全て不採用になってしまった。

 部費もどうしようもないので、もう高校二年生になるが帰宅部のままだ。


「……もしよかったら私のお弁当のおかずを食べてくれない? いっぱいあって食べきれそうにないから……」


 そう言って土屋さんが弁当箱を差し出してくる。小さな弁当箱でとてもそうは見えないが、土屋さんは小食なのだろうか?

 ここで遠慮するのも失礼かと思い、ありがたくいただくことにした。


「うん、一杯食べてね」


 俺がおかずの卵焼きやウインナーを食べる姿を見て、土屋さんは笑っていた。

 学園一の美少女とこうやってご飯を一緒に食べているなんて、何だか夢みたいだ……。


「鈴木君?」


 少しボーッとしていたみたいだ。何でもないよと誤魔化し、再度おかずを分けてもらったお礼をした。


「キミには昨日助けてもらったから、こんなのなんてことないよ。そうだ! 明日から私がお弁当作ってきてあげる!」

「え⁉」


 さすがにそこまでしてもらうのは申し訳ない。材料費等の問題はあるので大丈夫だと必死で説得した。


「気にしないで、私が好きでやることだから。いらなかったら残してくれてもいいの」

 

 結局此方が折れることになり、明日から土屋さんが弁当を用意してくれることになった。

 ありがたいと思う反面、申し訳ない気持ちも強かった。いつかこのお礼は必ずしようとひそかに決意した。


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