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みんなで動物園に行こう3
「はい、あーん!」
どうしてこうなった⁉
俺とメラ子ちゃんは向かい合う様に机に座った、そこまではいい。
だが何故マスクを外して満面の笑みを浮かべながら、スプーンにアイスを掬って差し出してくるんだ?
「理由なんて何でもいいじゃないか! キミには私のあーんを受け取る権利がある、諦めたまえ!」
ええい、ままよ!
意を決してあーんされた。
おいしい――はうっ! やはりお腹が――
「むふふー! どんどん食べてね!」
まさかあーんは全て食べきるまで終わらないのか?
限界が近いが、このままトイレに行けばアイスが溶けてしまう……!
「どうしたの?」
きょとんと小首をかしげるメラ子ちゃん。
こんな可愛らしい人にあーんしてもらえるのはこれが最初で最後だろう、ならば俺は限界を超える! 越えて見せる!
「とってもおいしいからもっと欲しい!」
「喜んで!」
次々と口に運ばれるアイス。
甘い、うまい、腹痛い。
「これが最後だね。はい、あーん」
アイスを食べ切り、メラ子ちゃんが片付けている間にトイレへ向かった。
ぎりぎりセーフだった。