メラ子ちゃん?
次の日、土屋さんと一緒に通学する際、早速メラ子ちゃんについて聞いてみた。
「メラ子ちゃん? そんな人知らないよ?」
しかし土屋さんはきょとんとした表情を浮かべながら首を傾ける。
え? もしかして知り合いじゃない?
騙された⁉
「サングラスとマスクをした小柄な女性だったんだけど――知らない?」
「それだけじゃ何とも。知り合いも多いから」
前の学校も新しい学校でも土屋さん大人気だもんな。
だけどメラ子ちゃんは俺の名前を土屋さんから聞いたと言っていたし、知り合いなのは間違いないと思うのだが……。
「――――まさか」
何やら思い当たる人物がいたのか、土屋さんがしぶい表情をする。
あんな嫌そうな表情初めて見た。
「一応これ渡しておくね」
土屋さんがボールペンを差し出してくる。
これはあれか、あの時の小型カメラが内蔵されたやつだな。
――でもどうしてこのタイミングで?
そう聞くと、「まだ確定じゃないから念のために。変なことされた遠慮なく撮っていい」とのこと。
土屋さんがここまで露骨に嫌がる人物、メラ子ちゃんは一体何者なんだ?
気になって授業に集中できず、今日は先生にいっぱい怒られる羽目になった。おのれメラ子ちゃん。
そして、今日は土屋さんと一緒に帰ったのだが、メラ子ちゃんが姿を現すことはなかった。