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ぼっちの俺が助けた相手は学園一の美少女でした。だけど世の中いい事ばかりじゃない  作者: どじょっち
ぼっちの俺が学園一の美少女を助けてしまった
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登校

 俺は現在一人暮らしだ。そんな男が学校から戻ってすぐ寝てしまえばどうなるかわかるだろうか?

 当然身体は汗臭く、制服はくしゃくしゃ、朝食の準備も宿題もできてない。目覚ましのタイマーをかけ忘れたため、時間に余裕がなさすぎる。

 とりあえず急いで着替えて、パンを一枚だけくわえながら授業で使う教科書を詰め込んでいく。宿題は諦めよう、補習万歳。

 その時ピンポーンとチャイムが鳴った。こんな朝早くから誰か来たのか? 時間もないためパンを気合で飲み込み、寝癖もそのままにドアを開ける。


「はーい、どちら様?」

「お……おはよう鈴木君」


 土屋さんがそこにいた。


「お、おはよう。部屋の番号教えましたっけ?」

「前を掃除していた大家さんに教えてもらったの。それと敬語は止めて、同じ学年でしょ」


 大家さんが下で親指を立てているのが見えた。

 あっさり個人情報漏らされてるんだけど。


「迷惑だったかな?」

「そ、そんなことないよ。ところでどうしてここに」

「もしよかったら、一緒に学校行けないかなって思って……」


 カバンで赤くなった顔を隠し、不安げにこちらを見る姿が子犬を連想させる。


「す、すぐ準備するからちょっと待って」


 髪を水で濡らし、体中に消臭・芳香剤を浴びてから玄関で待つ土屋さんの元へ向かった。


「お、お待たせ。行こうか」

「うん」


 土屋さんが自然な動きで腕を組んでくる。

 心拍数が一気に上がり、鏡を見れば真っ赤になっている自信があった。


「つ、土屋さん⁉」

「ごめんなさい、昨日のこともあって誰かが近くにいないと不安なの……キミなら信頼できるから」


 そう言われれば拒むこともできず、俺たちは腕を組んだまま歩き出した。

 昨日の出来事は警察に通報しており、犯人を捜索中とのこと。早く捕まってくれればいいんだが。

 

「昨日は本当にありがとう、近いうちに改めて両親とお礼をさせてもらうね」

「そ、そんなの当然の事をしただけだからいいよ」

「鈴木君がよくても私がよくありません」


 頬を膨らませ、抗議の意を示す土屋さん。

 高校とは違って感情豊かだ、これが彼女の素なのだろうか。


「ところで大家さんから聞いたけど、キミって一人暮らしなの?」


 大家さんに心で文句を言いながら素直に頷く。

 二人とも海外出張で家に滅多に帰ってこないのだ。


「そうなんだ、だったら今度遊びに行ってもいいかな?」


 拒む理由もない、土屋さんに問題なければ何時でも大歓迎だ。


「やった! ありがとう!」


 土屋さんがさらに体を密着させて来る。胸元が当たって理性が吹き飛びそうになった。

だが視界に映る現実が俺を冷静にさせた。

 これは通学途中の出来事である。一目につきやすい状態であり、さらに土屋さんは高校一の美少女だ。つまり――


「おい見ろよ! あれ土屋さんじゃねえか⁉」

「ほんとだ! 男と一緒にいるだとおおおおッ⁉」


 当然俺たちは注目の的になった。

 昨日までだったら俺も土屋さんがこんなに男子生徒に甘える姿を見せていたら腰を抜かしていただろう。それほど土屋さんは孤高のイメージが強かったのだ。 

 土屋さんは周囲の目などお構いなしで俺にべったり引っ付いたままで、この状態は校舎に入り、それぞれのクラスに入るまで続いた。

 別れた瞬間質問攻めにあったのは言うまでもあるまい。

 うまく返事はできなかったが……。

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