メラ子ちゃんと遊ぼう
令和2回目の投稿
とりあえず近場にあったゲーセンにやって来た。
学生たちがお金やコイン片手にゲームに向き合い、賑わっている。
「ほほほーう! まずはゲームセンターですな! オーケイどのゲームで遊ぶんだい? そうそうお金の心配はしなくていい、全部私が負担しよう!」
さすがに悪いと遠慮するが「気にすることはなーい!」と押し切られ、小銭を握らされた。
まだあったばかりなのにこの気安さはマジで何だ?
せっかくなのでUFOキャッチャーに挑戦することにした。
土屋さんが好きな動物――今回は熊のぬいぐるみに狙いを定める。アームで掴むが残念ながら落ちてしまった。結構悔しい。
「うーむ残念。だけどそれを狙ったのはポイント高いよー! 氷ちゃんにプレゼントしようと思ったんでしょ?」
マスク越してわかるほどにやにやしているメラ子ちゃんに返事するのが恥ずかしくなって目を逸らしてしまった。
「うむうむ、初心な反応でよきかなよきかな。では私がキミの仇を取ってあげよう!」
メラ子ちゃんはお金を入れてアームを動かす。
そのまま人形を挟み、持ち上げると――ぽろりと落ちてしまった。
「くーっ! おしい! もう一回すれば行ける気がする‼」
大口を叩いた割にメラ子ちゃんのプレイは俺と変わらず、結局二千円近く使ってようやく人形を手に入れることができた。
「はぁはぁ……UFOキャッチャー恐るべし、ついムキになっちゃったよ。だけど、目的の物は手に入れた! はい、どうぞ」
メラ子ちゃんが熊のぬいぐるみを押し付けて来た。
これはメラ子ちゃんが手に入れたものだから受け取れない――そう断るが、彼女は「ちっちっち」と指を立てて横に振る。
「これは氷ちゃんへ贈ろうとしたキミの物だ、遠慮なく受け取りたまえ!」
話を全く聞いてくれないので、またしても押し切られてしまった。
俺って押しに弱すぎる気がする。
気を切り替えてプレゼントを贈った際の土屋さんを想像すると、自然と顔がにやけていたのだろうか、メラ子ちゃんがにやにやと笑っていた。
曰く「キミは表情に感情が良く出ている。裏表がないのはポイントが高い」とのこと。
――そんなにわかりやすいだろうか? ぼっち生活が長いから逆に表情筋が死んでいると思ったのだが、メラ子ちゃんにはわかってしまうらしい。
寧ろこれはメラ子ちゃんが聡いだけなのでは?
深く考え込んでいるとメラ子ちゃんに怒られた。
女の子を待たせるのは減点らしい。
メラ子ちゃんに謝罪し、別のゲームへと移動することにした。