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ペットショップ

「うわぁ……」


 犬や猫の入ったショーケースにへばりつき、土屋さんが恍惚とした表情を浮かべている。


 俺たちが今いる場所は町内でも有名な大型ペットショップだ。

 多くの動物にペットフードなど、動物を飼うための物が一式揃っており、ペットを飼いに来た人や俺たちみたいに癒しを求めてきた人で溢れている。


 土屋さんから学校帰りに突然行こうと誘われたが、あれほど好きなら納得だ。 

 普段のクールな土屋さんしか知らない人からすれば、あそこまで蕩けた表情は驚きだろう。


 そんな時、店員が声を張り上げた。


「今から動物ふれあい体験を始めまーす。希望者は集まってくださーい!」


 なるほど実際に子犬や子猫を触ることができるイベントか、抱っこしたりするともふもふで気持ちいいだろうなぁ――と考えていたら、目を光らせた土屋さんが真っ先に並び、自然と俺もその後ろに付かされていた。


「楽しみだね、鈴木君」

「そ、そうだね」


 土屋さんって動物がらみになると結構ぐいぐい行くタイプなんだな、今度動物園とか連れて行ってあげると喜ぶかもしれない。


 やがて時間となり、土屋さんがショーケースから出された子犬を受け取り抱き締める。

 天にも昇りそうな気持ちなのだろう、表情が幸せで溢れていた。


「はい、どうぞ」


 俺が渡されたのは白い毛並みがきれい子猫だったのだが、まったくこちらを向いてくれない。プライドが高そうだ。

 撫でようとしたら前足ではじかれ、威嚇された。

 可愛げがない、だが何故か既視感がある。


「鈴木君、その子も抱っこしていい?」


 喜んで猫を渡し、子犬と交換する。

すると俺の時とは違い、土屋さんには甘えるような声を出して擦り寄っていた。

 

「かわいいー!」

「にゃあん」


 何が「にゃあん」だ、俺の時は威嚇してきたくせに。

 そして既視感の正体がわかった、あいつ猫矢さんに似ている。土屋さんにべったりな所がそっくりだ。 


「にゃふ」


 土屋さんに抱かれながら勝ち誇ったような笑みを浮かべる猫。

 俺は謎の敗北感をさっきまで土屋さんに抱かれていた子犬で癒した。



ゆっくり続けていきます

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