小型カメラ
田中先生の一件があり、目だったいじめはなくなった。俺と土屋さんの机が次の日また入れ替わっていたぐらいだ。
だが犯人が見つかったわけではない。俺達三人は屋上に集まり、話し合っていた。
「ダメです、今日も収穫なしですわ」
「もう落ち着いてきたし、犯人も飽きたんだよ」
「甘々の甘ちゃんです、そんなのだから相手から低く見られるのですわ。こういうことはしっかりけじめをつけないと」
「け、けじめって大げさな」
だいぶ打ち解けたが、この子は本当に思ったことを口に出してしまうタイプだ。仲良くなりやすいが、同時に敵も多いだろう。
「猫矢さんの言う通りだよ。大人しくしていても何も変わらない」
「土屋さんまで……」
「だから、こんなものを用意した」
土屋さんが何やらペンを取り出す。
普通のボールペンにしか見えないが、これは一体?
「小型カメラ内蔵付きボールペン」
「ぶぅぅぅぅううううううううっっっっ‼」
「にゃああああ! 汚いですわああああ!」
思わず吹き出してしまった。そんなものテレビや漫画の世界だけだと思っていたが、校舎って実物を目に出来るとは……。
「私の机の中に入れて君の席だけを撮れるように調整しておく。これでばっちし」
「あのー土屋さん、これって犯罪では?」
「……ばれなかったら、いい」
「よくないよ!」
結局ペンは使用されることになった。先生に見つからなければいいけど……