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13人目の勇者  作者: ユウジン
第一章・勇者と獣
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異世界召喚

俺は不動 大和。年は17才、身長は195㎝体重は110キロ……顔立ちは周りからヤクザも菩薩に見える言われるくらいで、体格もかなり良いと我ながら思うし、あと運動神経はずば抜けて良い方だ。寧ろ良すぎて加減を間違うと大惨事を引き起こしかねない位で、家はそこそこ広く何故か道場があってそこでは毎日親父に喧嘩のやり方を教えてやると言われ叩きのめされている。


まあお陰で力加減のコツなんかも学べたし、良かった面も無かったとは言わないが別に俺は格闘技の道に進む気は別にない。だが親父は、そんな俺に無理やり教え込んだ。小さい頃なんかは嫌がったが、いつの間にか段々それを受け入れていく自分に今ではため息を吐く毎日である。


だが何故こんなことをするのか……それに関しては答えない。何度か聞いたのだがそれに関してはだんまりを決め込む。


まぁ今は考えるのを止めておこう。自分で言うのもなんだが余り物事を細かく何時までも考える性格じゃないし、今はもっと大事なものがある。今目の前にある数学のテスト……こっちの方がずっと大事だ。


と、現在高校生の大和は頭を掻き、ため息を吐いた。



大和の実家はデカい屋敷だ。何故かって?それは親が金持ちなだけである。別に自分が凄い訳じゃない。


正確には家自体は会社の社長である母の物で、父の本来の立場はそんな母のボディーガード。しかも父と母は籍を入れていない。こっちも余り詳しく教えてくれないのだが、どうもうちの父上は国籍を持っていない疑惑がある。黒髪だが、顔は般若で見るのが怖いのだが東洋人の顔とは少し違う。


そんなことを考えながら、期末試験を終えた大和は家の門を潜る。まあ親とは言え余り言いたくないこともあるだろう。と、17才にもなれば理解はするが気にはなる。いつかそれこそ酒でも酌み交わせば話してくれるのだろうか?


なんて思っていると、


「ん?」


チクっと首の後ろを針で刺されるような感覚。別に本当に刺されたわけではなく、他に言い様のない不思議な感覚だ。


なんだ?と思いつつ歩く。いつの間にか玄関の扉に向かう道から外れ、敷地の隅にある物置小屋に来ていた。


「ここから?」


何故分かるのか何て分からないが、第六感が言う。ここに何かがあると。


そんな勘に促されながら物置小屋の扉を開け入ると、埃に目を細めながら見渡すが見た感じ何もない。


「?」


大和は首をかしげつつ、物置小屋の奥に歩を進めた。ただなんとなくの行動だ。


すると、奥に見つけたのは装飾を施された小さな箱。それを見た瞬間、大和の体に電流のようなものが走る。これが探してるものだと体が訴えた。


その訴えの赴くままに大和がその箱に触れると、カシャッと音がして箱が開く。


「これは……」


その箱の中に入っていたのは赤青黄緑茶白黒様々な色が混じりあった不思議な宝石。見たことのないそれに、大和は思わず関心しながらそれを持って物置小屋を出た。


これがいったい何なのかは知らないが後で聞いてみよう。そんなことを思いながら玄関に向かいつつ、傾き始めた太陽に宝石を照らしてみたりしていると、


「大和!」

「ん?」


遠くから聞こえた声の方向に顔を向けるとそこには血相を変えて走ってくる父の姿が見える。


「とうさ……」


そこまでいった瞬間、突如足元がなくなったような浮遊感に襲われ、目の前が真っ暗になった!


「え?え?えぇ!?」


大和は咄嗟に手足をバタつかせるが勿論掴めるところ何かない。ただ無限に落下するだけの状態だ。


(死ぬのか?)


思わずそんな言葉が脳裏によぎる。これだけ落下してるのだ。そうなっても可笑しくない。等と考えた瞬間!


「でっ!」


ドシン!っと思いっきり尻餅をついて大和は悲鳴をあげた。


尻の割れ目が1つ増えていそうな感覚があるがそんなことを気にしていられない。何故なら今の大和の眼前に広がるのは自分の家の庭ではなく見たことのない造りのホールのような場所だ。


更に床には魔方陣(良く分かんないけどそんな感じの奴)がありそれを囲むように人が立ち、その魔方陣の中にも大和と同世代かそれよりも下の男女が同じく尻を擦りながらいる。


すると此方を囲んでいた男達の背後にある少し高くなった所にいた豪勢な服の男がこちらを一瞥しすると、


「突然の召喚には心から謝罪申し上げる。勇者達よ」


は?と大和は思わず口をついて出そうになったが黙っておく。勇者?召喚?何をいってるんだこいつは……


「我はアーバルト王国国王。ガファリア・アーバルト……ん?」


と、偉そうに自分の名前を名乗った男が、隣に耳打ちしてきた男に意識を向けると、


「そ、そうか。このままでは言葉が通じぬか」

「?」


いや、普通に通じてるけど?と思っているとガファリアと名乗った男に耳打ちしていた男が隣から前に出るとぶつぶつ呟き手に持っていた豪華そうな杖を掲げた。すると、空からキラキラ光る粉みたいなものが降り注ぎ消えていく。それからまたガファリアという男は、


「突然の召喚には心から謝罪申し上げる。勇者達よ。我はアーバルト王国国王。ガファリア・アーバルトだ」


いやそれ二回目だけどね?と口にでそうだったかそれをグッと堪えておこう。なんか自分の周りにいる自分と似た年格好の少年少女達がザワザワしてるし突っ込める雰囲気じゃない。


「しょ、召喚ってどう言うことですか?」


等と思っていたらざわついていた一人が口を開いた。


そうそう。言葉通じてるどうこうの前になんでここに突然来たのかとか多分この人たちが関係してるってことで良いんだよな?等と思っていると、


「確かにいきなりのことで驚いているだろうと思う。だがこれだけは理解してもらいたい。皆は我等人間族(ヒューマン)がこの大陸を統一するために召喚した選ばれし12人の勇者なのだ!」


ドン!という効果音がつきそうな勢いで言ったガファリアはあれ?と首をかしげ、指をこちらに指しながら何やら数を数え始めた。そして、


「一人、二人、三人……む?十三人いるぞ?」


え!?と驚いたのはガファリアの周りにいた男たちもで、どうやら予想外の十三人目の召喚された人間がいるらしい。


まあそんなことはどうでも良い。まずこいつらに言わなくてはならないことがある。それはなにかというと、


「あの、ガファリア王」

「なんだね?」

「勇者だかなんだか知らないのですが……とりあえず元の国に帰していただけますか?」


と、大和はできる限り丁寧な言葉遣いで聞く。今の状況は分からないが仮にも初対面で王様らしいし……だがそう言うとガファリアだけじゃない。周りにいた男女たち処か何故か自分の周りにいた同世代の連中にまで怪訝な目をされた。


いやいやいや召喚したやつらなら何かしらの思惑があったのかって思うけどなんでお前らまで……


そう思っていると、


「すまないが召喚した人間を返す魔法はない」


そうガファリアは怪訝な目をやめて冷静な口調で答えた。微妙にそわそわしてるけど……まるで予想していなかった答えに度肝抜かれて慌ててそれらしいことを言ったみたいだ。すると、


「と、とにかく今夜は宴の用意があります。その辺の話は明日改めて席をもうけますので移動しましょう」


と、ガファリアの隣に立っていた男はそう言うと後ろの扉からこれはまた王道な服装のイケメン執事や美少女メイド風の男女が入ってきてそれぞれ異性同士の組み合わせになるように部屋から連れ出し始めた。うーむ……分かりやすいくらい下心に訴える作戦だな。


「こちらでございます!」


と、自分にもちょっとロリっぽい顔立ちの可愛らしくも元気が良いメイドさんが来て立たせてくれる。


「メイドのナターシャと申します!以後、お見知りおきを!」


ビシッ!と恭しく何てどこか宇宙の彼方に置いてきた位の勢いでお辞儀した彼女に苦笑いしてしまう。


ほらほら、周りのメイドさんや執事さんがこっち睨んでるから連れってくれよ。と大和が促すと慌てた様子でナターシャは頭をあげて此方ですと引っ張ってくれる。


まぁ突然変なところに連れてこられて困惑してたけど……こういう出会いがあるならまだ報われるってもんかなぁ。何て思ってしまったのは仕方のないことだろう。

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