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スクールカースト  作者: 久川梓紗
バレー部キャプテンと美術部少女
9/11

9

色々と苦手なのが多い方はあまり読まない方がいいかもしれません←

 ついにお昼休みの時間になった。


 いつもは騒がしいはずのクラスがやけに静かになっている。きっと朝に届いたLINEのせいだろう。


 何が起きるんだろうと楽しみにしている人も少しだけ緊張している様子の人もいる。自分には関係ないと言った様子で興味を示さないものも何人かいた。



「裕希?どうしたんだ?」


 久しぶりに裕人と裕希は一緒にお昼ご飯を食べている。つい最近はバラバラに食べることが多かったからか裕人はいつも以上にご機嫌な気がしなくもない。


「何か気になることでもあるの?」


 裕人の隣に座る山口までもが彼のことを気にかける。


 山口はこの席になってから裕人といつもお昼を食べている。少し前「いつものヤツらとお昼食べなくていいのか?」と裕希が聞いたら「女子じゃないから大丈夫だろ」と返されていた。


「なんでもないよ」


 裕希はなんでもない。と言った様子でお弁当に目を向け直した。


 お弁当の中身は裕人と全く同じで、今日は裕希が作ったお手製のお弁当だ。

 本にでも載っていそうな計画されてるおかず達は綺麗に盛り付けもされている。


「皆さんこんにちわー。今日は、ちょっと面白い音声があるので流しますねー」


 のんびりしたクラスメイトの声が教室内に響く。


 そういえば彼女、放送部だったっけ。あまりお昼の放送なんて聞かないものだからすっかり忘れていた。けど確か、このクラスにはあと数人放送部がいた気が、する。


「じゃあ始まりまーす。3、2、1」


 のんびりとした声が緊張感を持たせない。

 一体何が始まるのだろうか。声に騙されながらも耳を傾ける。


「0」


 最後を知らせるカウントさえも間が抜けていて何も言えない。


「なぁ鷹也、約束のやつ持ってきたか?」


 機械音が流れてきた。よくニュースとかで耳にするモザイク音。

 あ、あれだ。個人情報なのでー、とかなんとか言って声が変えられるぼやぼやとした聞き取れない訳では無い聞き取りにくい音声のやつだ。



「おー。持ってきたぜ」


 あらま。

 鷹也と言われた人の声はクリアだ。

 どこかで聞いたことある声だけど誰だっけ?


「サンキュー。ほら、約束の対価」


「おー」


 モザイク音とクリアな音。


 教室の中がざわざわ騒めき出していて、前者は余計に聴こえにくくなる。


「なーんだ、思ったより雑」


 相川がポソリと呟いた。つまんなーい。と言った様子で口を尖らしている。

 彼女はもう全てのことを知っているのだろうか。これは、彼女の仕業なのだろうか。


 教室内の騒めきはお構い無しに放送は流れ続ける。


「それで、約束の写真は?」


「ある」


 「勿体ぶらないで早くくれよ」


「誰にも見せるんじゃねぇぞ」


「了解了解」


 鷹也と言う男子の声だけが筒抜けで聞こえてくる。彼と話しているであろうもう1人の人物からは“写真”というキーワードだけ鮮明に聞こえてきた。


「……俺、トイレ行ってくる」


 山口が席をたとうとする。

 それを裕人が不思議そうに首を傾げた。


「さっき行ったばかりじゃないか」


「腹が痛くなってきたんだよ」


「ほら、次の放送流れるぞ。お前の好きな今までにない放送だ」


 裕人が無理やり山口の腕を引っ張ってその場に留まらせた。


 山口は本当にお腹がいないのかお腹を抱えるように蹲っている。

 彼のスマホは机の上に置いてある。



「ねぇ、何してるの?」


 1度途切れた放送から流れてきた声は相変わらずモザイク音が入っているが先程までの声とは違って高い。


「こんなことして、どうするの?」


 多分女性の声なのだろう。その声の次にまた鷹也という男子の声が聞こえてくる。


「どうするってネットにあげるんだよ」


「それ、本気?」


「俺が嘘ついたことは?」


「減らず口は叩く」


「お前のそういう所昔から変わらないよな」


「やめなよ」


「嫌だ」


「なんで?」


「理由は特にねぇけど面白そうじゃん」


「だめ」


「じゃあ、お前が代わりのことしてくれる?」


「なにそれ」


「ちょっと、俺に手を貸しえくればいいんだよ」


「お前相変わらず反応薄いと言うか、制御し過ぎというか……。まぁ、その方がバレないかもな?」


 それから布が擦り合うようなガサガサとした音が聞こえてくる。録音した機械は近くにないのか風の音は聞こえてこず、小さな上擦るような音だけが聞こえてくる。

 そんな小さな音がなんで聞こえてくるのかと不思議に思ったが、それは安易だった。

 教室内が放送の音しか流れていないからだ。

 誰一人喋ろうともせず立とうとも、ましてや食べようともしない。


 女子なんかは睨めつけるような目でどこかを見て、男子は隠しながらニヤニヤしているような人もいる。

 それでも誰一人言葉を発しない。


 それから擦り合うような音がなり終わったあと、高いモザイク音の持ち主が喋り出した。


「……呆れた」


「幻滅したか?」


「そんなのとっくにしてるわ」


「酷い言われようで」


 男子の声の方がはっきり聞こえてくるからか、その言葉でさえも楽しんでいることが伝わってきた。


「これからは、ここでやるのは辞めて」


「は?」


「バレないように」


「なに、お前こういう趣味あったんだ」


「そんなわけないじゃない。けど……」


「君と私の関係がバレてこの状態を見られたらまずいから」


「それが楽しいんじゃないか」


「最低な性格ね。バレたらあなたの地位もきっと下がるわよ」


「それはダメだな。しょうがない、お前の策に乗るよ」


「それはこっちのセリフ」


 ここでまた一旦途切れる。

 なんの放送なの?何を伝えたいの?この放送の意図がよくわからない。


 教室内が静かに騒ぎ出す。

 クラスのほとんどがある1人に視線を向けている。


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