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恋愛実践録99

内通者は絶対に口を割らない姿勢を堅持している。

驕る金権の人海戦術を取っている愛人側のメンバーは、変則的とも言える客の撹乱分断工作に依り完全に混乱を来たしている。





メンバー全員が疑心暗鬼に陥り、客やホスト亭主を狙うどころでは無い三竦み状態がずっと続いている。





そんな疑心暗鬼の元にあらぬ嫌疑を掛け密告した者が、逆に密告され、リンチまがいの尋問を受け、悲痛なる叫び声を上げている中、内通者は客への連絡など一切取らず、口を閉ざし、したたかに生き延び、命脈を保っている。





確たる証拠が無い以上、裏切り者を特定出来るのは自白しかなく、自白さえしなければ犯人だと断定される事はまず無いので、内通者はその鉄則を堅持し、絶対に口を割らない姿勢を取っている。




然るに、特定出来ないならば嫌疑が掛かった時点で粛清処分するしか方法は無いのだが、それをすれば、正に客の思う壷なので、それも出来ず、愛人は持ち前の金に任せての強硬手段を取る事も出来ず苛立ち始めている。





旦那が言う。





「姫、とにかく、そいつが尻尾を出すのを待つしかない持久戦の状況か?」





唇を噛み締め、愛人が答える。





「そうね。それしか無いわよね…」

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