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恋愛実践録84
「はってでも、俺は家族の本に帰る。道はそれしかない」とホスト亭主は自問自答を繰り返す。
家族と談笑する夢を見て、ホスト亭主は眼を覚ました。
猛烈に喉が渇く。
だがほてり鈍痛、痺れ脱力感があり、立ち上がる事が出来ない。
立ち上がって、水を飲み、歩いて脱出しないと、家族の本には帰れない。
帰りたいと願い、ホスト亭主は無理を承知で再度上体を起こし、踏ん張って立ち上がろうとするのだが、やはり踏ん張る事がどうしても出来ず、力尽きるように横たわり、息も絶え絶えに自問自答していく。
「俺はここで死ぬのか?」
「死んで堪るものか」
「だが、動けないならば、水も飲めず、死ぬしかあるまい」
「いや、絶対に俺は死なない」
「どうやって生き延びると言うのだ?」
「はってでも、俺は家族の本に帰る。道はそれしかない」
「はう事は出来るのか?」
「やってみるさ」




