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恋愛実践録81
客がホスト亭主を心配そうに見下ろしつつ、躊躇いながら答えた。
客が旦那に告げる。
「車で帰るにしても、私は愛人と一緒の車に乗るのは嫌ですから」
旦那が媚びるように苦笑いしてから言った。
「大丈夫だ。車は二台用意してあるし、別々だから心配無い」
その言葉を聞いてから、客が悶絶しているホスト亭主が電話を持っているかどうか、入念に点検目視確認して立ち上がり、愛人一行を見ずに、旦那に顔を向けて言った。
「電話がある事は分かりました。後この別荘には水道が通っていますか。それと非常食とか用意されていますか?」
旦那が愛人に目配せしてから、苦笑いしつつおもむろに答える。
「水道はちゃんと通っているさ。でも食い物は持ち込まないと無いし、何だったら買い置きしておくか。尤も水さえあれば、人間は一週間位は餓死しないものだが、どうする?」
客がホスト亭主を心配そうに見下ろしつつ、躊躇いながら答えた。
「いえ、いいです。行きましょう」




