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恋愛実践録69
旦那が土下座を解き開き直った。
旦那が土下座を解き、開き直った。
「おい、何故何も答えないのだ。ふざけるなよ。誰のお陰でいい家に住み、贅沢三昧出来ていると思っていやがるんだ。言わば浮気は成功した男の甲斐性、勲章じゃねえか。それをめそめそ恨みがましく興信所立てて、俺の金遣って調べ上げたのはお前じゃないか。無駄遣いしやがって。あーん、聞いているのか、間抜け女、どうなんだ?!」
何を言われようとも、涙ぐむだけで、強張った表情を客は崩さない。
それを見て、立ち上がった旦那が激昂する。
「てめぇは俺の飼っている雌豚じゃねえか。雌豚は雌豚らしく、ご主人様の命令に従っていればいいんだ。てめぇ、耳あるのか。俺が殊勝に謝っているのに、聞いていやがるのか、どうなんだ?!」
明らかに馬耳東風を決め込んでいる客に対して、業を煮やし、旦那が詰めより、大上段に振りかぶり、平手打ちをかますべく身構え怒鳴った。
「おい、答えないと、殴るぞ。馬鹿女め、雌豚め、答えろ、馬鹿女!」




