恋愛実践録67
「今度の事で俺はつくづく勉強になったんだ。結局俺にはお前しかいないという事が骨の髄まで分かった。頼む、俺と寄りを戻してくれないか。頼む?」と旦那が客に対して涙ながらに哀願する。
別室に移った旦那が豹変し、客に向かって土下座し涙を流しながら哀願する。
「すまない。本当に寂しい思いをさせて済まなかった。苦労掛けたが、これで蹴りがつき、晴れて俺はお前の本に帰る事が許されたわけだ。本当に寂しい思いをさせて、済まなかった。これこの通りだ。許してくれ?」
涙ぐんだまま沈黙して、旦那と眼も合わせようとしない客に対して旦那が窮状を涙ながらに訴え続ける。
「むしのいいのは分かり過ぎる程分かっている。本の鞘に戻れない事も重々承知の上で俺は頼んでいるのだ。頼む、お願いだ?」
頑なに沈黙している客に対して、旦那が土下座したまま涙も拭わず、むせび泣き哀願し続ける。
「今度の事で俺はつくづく勉強になったんだ。結局俺にはお前しかいないという事が骨の髄まで分かった。頼む、俺と寄りを戻してくれないか。頼む?」
何を言われようとも、客は涙ぐみつつも沈黙を守り、口を開かないまま、旦那を見ようともせず、押し黙っている。




