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恋愛実践録58

矛盾だらけの後ろ指指される職業不倫であろうとも、貫くしか道は無いのだと、ホスト亭主は考えた。

苦笑いを浮かべたまま妻に背を向けて、自分の部屋に篭り、ベッドに身を横たえてホスト亭主は考える。





それがどんなに純な恋愛の形をとっていようとも浮気にしかならない恋。





日陰者の恋は、どこまで行っても日陰者の恋であり、それに加えて実る事も絶対に有り得ない恋でもある。





職業不倫は、その淫靡性を帯びていればいる程に、どんなに純に燃え上がっても、世間の蔑みの対象にしかならない。





だから「純愛なのだ、許してくれ!」と声を上げれば上げる程に、疎外対象にしかならないので、声を上げる事すら適わぬ恋。





それに付け加えて、その淫靡な純愛をする事で家族を養っている絶対の矛盾がある。




確かに金を儲ける手段に綺麗も汚いも無いが、養っている家族でさえ、特に幼い娘などに後ろ指を指され、それを弁解糾弾する事も出来ない日陰者の後ろめたさがいつも付き纏う。





職業不倫で家族を養わなければならない後ろめたさは、いつまで経っても拭い去る事の出来ない絶対の矛盾と言える。





だが精神的にも肉体的にもボロボロとなり、このように無様で、にっちもさっちも行かなくなろうとも、この仕事を辞める事は出来ない。





今まで歩んで来た道。今ある道。そしてこれからも歩んで行かなければならない道をを断念し諦め辞める事は、明らかに己にとっての落伍なのだ。





敗残者でしかないのだ。





日陰者の恋を貫くのと同じく、世間や家族にどんなに後ろ指指されようとも、一人の男として生計を立てる為にもこの道をひたすら歩き、独りよがりの職業不倫を、ピエロの如く貫くしか道は無いのだ。





行くところまで行くしか道は無いのだ。





息をつき、そうホスト亭主は独りごちた。

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