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恋愛実践録57

妻が心配して「大丈夫なの?」とホスト亭主に声を掛けた。

一方で「客を捜している」という情報を流し、返す手で「客の居所を知っているが今は明かせない」という情報を交互に流す。





それに対するリアクションから、現在進行中の状況を分析しようとする姿勢をとっているのだが、まるでつんぼさじきに置かれているが如く、有用な情報は得られない状態が続いている。




そして虚々実々の情報戦履行は酷く神経を摩耗させ、益々疑心暗鬼を増大させて行く。





そんな心配事が続く状況は仕事やプライベートにも少なからず影を落とし、妻が心配して声を掛けて来た。





「何かいつもそわそわして、何か心配事でもあるの?」





ホスト亭主が苦笑いを浮かべて答える。





「仕事が思い通りにいっていないのさ。こんなのいつものストレスだし、心配無いさ」





「客と何かトラブっているの?」





「ああ、そんなものだし、いつもの事だから心配しないでくれ」





妻が顔色の悪いホスト亭主をまじまじと見詰めてから言った。





「少し仕事休むという手もありよね?」





ホスト亭主が辛そうにもう一度苦笑いを頬に浮かべ答える。





「心配無い。大丈夫だから心配しないでくれ…」

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