恋愛実践録48
「客の方の感情面は俺には分からないが、お前には大いに利用価値が有ったと言う事だろうな」とホスト仲間は言った。
ホスト亭主が尋ねる。
「組織立っているというのはどんな連中なんだ」
ホスト仲間が答える。
「ホストを中心として興信所が絡み、俗に言うところの裏社会の連中が相当数絡んでいると言う事だろうな…」
憤りを顕にしてホスト亭主が尋ねる。
「何故だ?!」
「詰まるところ金さ。お互い資産家の奥方と令嬢の陣取り合戦みたいなものだからな。金に糸目なくばらまけば、裏社会の人間は臆面もなく群がる構図さ」
ホスト亭主が目くじらを立てて尋ねる。
「俺にこのメールを送って来たのが愛人サイドと言うならば、客は既に愛人サイドに囚われているのか?!」
「いや、その気になってかい潜れば、成り済ましメールなど簡単に作成、送信可能だしな。客が囚われているかどうかは未知数だろう。この戦いは言わば鬼女、般若同士の果ての無い泥沼合戦だからな。何だって有りの世界だろう…」
ホスト亭主が眉をひそめて尋ねる。
「それじゃ、俺は客とあの愛人の手の平の上で転がされていたのか。愛人を陥れたつもりが、出れない沼に自ら入ってしまったというのか?!」
間を置いてからホスト仲間が答える。
「あの愛人はお前に騙される振りをしながら、お前を罠に掛け、それをゲーム感覚よろしく愉しんでいるのさ」
ホスト亭主が固唾を飲み言った。
「客もそうなのか?!」
「客の方の感情面は俺には分からないが、お前には大いに利用価値が有ったと言う事だろうな」




