恋愛実践録24
「婚約者をぶっ殺してでも、貴女を略奪しますよ!」とホスト亭主は愛人に言った。
愛人との情事にホスト亭主自身がのめり込み、恋焦がれ夢中になっている演技を繰り返している中、ホテルでの情事の余韻を愉しみつつ愛人が言った。
「実を言うと、私も婚約者と同棲中なのよ」
愛人に腕枕を提供しながら、ホスト亭主が殊更に驚く振りをして言った。
「婚約者がいるのですか!」
小悪魔じみた感じで微笑み、バスローブを纏った愛人がしなを作りながら、言った。
「でも最近ぎくしゃくとしちゃって上手く行っていないのですよね…」
ホスト亭主が色めき立つ演技をしてから尋ねた。
「別れるかもしれないのですか?!」
愛人が同情を引くが如く悲しげに頷き言った。
「でも婚約だから、そんな簡単に破棄出来るものではありませんよね。私の方に新たに好きな人が出来たと言っても納得しないだろうし…」
ここぞとばかりに、攻め込むようにホスト亭主が言う。
「自分が直談判すると言うのはどうですかね?」
眼を潤ませつつ切なげに愛人が言う。
「でも貴方は妻帯者だし、そんな事出来ませんよね?」
ホスト亭主が眼を見開きつつ明言する。
「貴女の為ならば離婚しますよ。そしてその婚約者を殴り倒してでも、貴女と添い遂げますよ!」
愛人が愛くるしく上目遣いにホスト亭主を見遣りながら尋ねる。
「本気ですか?」
ホスト亭主が大きく頷き、気合いを込めて言い放った。
「婚約者をぶっ殺してでも、貴女を略奪しますよ!」




