恋愛実践録18
「でも興信所でも二人の今まで別れない相性の機敏や、あの愛人の事細かな心の動きと言うか、性質は分かりませんよね?」とホスト亭主は言った。
ホスト仲間の横の連携を利して、ターゲットたる愛人をおびき寄せて店に来店させ、自分を指名させる事には何とか辿り着いたのだが、予想以上に相手が手強いの感知して、ホスト亭主は戸惑い気色ばんだ。
ホスト慣れしていると言うか、金に明かして徹底した遊びとしての擬似恋愛に長けているつわものであり、取り入る隙がなかなか見出だせない状況が続いている。
はらの探り合いじみた会話をしながら、何を考えているのか分からない謎めいた魔性の女と言う形容がよく似合う、擬似恋愛のつわものだとホスト亭主は困惑し、ため息交じりに考えた。
そしてホスト亭主は周到に店の外で客と落ち合い、客の旦那と愛人が、どのように知り合い、どのような相性の合致の本に付き合い、同棲に至ったのかを尋ねた。
客が答える。
「二人が知り合ったきっかけは、旦那がホストクラブに行き、そこのホストと友達になって、そのホストが自分の顧客たるあの愛人を紹介したのです」
ホスト亭主が再度尋ねる。
「その知り合ったきっかけは旦那さんの口から聞き出したのですか?」
客が首を横に振り答える。
「いえ、興信所に頼んで調べ上げたのです」
ホスト亭主が一声低い声で唸った後言った。
「そこまでしたのですか…。でも興信所でも二人の今まで別れない相性の機敏や、あの愛人の事細かな心の動きと言うか、性質は分かりませんよね?」
客が頷き言った。
「それは、そうですよね…」
ホスト亭主が眉をひそめおもむろに言った。
「その辺りの細やかな事情が判明して、愛人の性質の細部に渡る全体像が事細かに分かれば、攻略の糸口が掴めるのですがね…」