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恋愛実践録162

旦那を殺した愛人が真っ直ぐに山門を目指すのだが、誰一人として愛人の行く手を阻む者はおらず、寺の境内は不気味な闇の静けさに包まれている。そして…。

薄暗いオレンジ色の豆電球が点る中、もんどり打って落下した旦那の頭を、愛人が木製のバットで狙いをつけめった打ちにする。





旦那は仰向けに倒れたまま、咄嗟に両腕で頭を抱え込み、てんてんとして、打撃を何とか避けようとするのだが出来ず、その手を押し潰すように容赦ない打撃が矢継ぎ早に加えられ、見る見る内に血達磨と化して行く。





愛人が裂帛の気合いを込め、般若の如く形相をして怒声を上げる。




「死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死んじまえ!」




やがて旦那は横向きになって身体を折り曲げ白目を剥き血へどを吐いて、断末魔の絶叫を上げた後、全身を小刻みに痙攣させ、硬直したように動きを止め、絶命した。





相手が死んだのを確かめた愛人が狂喜の笑みを頬に浮かべ、バットを無造作に放り投げた後、乱心したように笑いながら自分の部屋に戻り、返り血を浴びた身体をシャワーで清め、服装も変え身支度を整えて、大声で喚いた。




「私はあいつを殺し、このゲームに勝ったのだから、ここから出れるのよね!」





誰も答えはしないのだが、愛人は虚空を睨み据え喚き続ける。





「誰も邪魔出来ないルールの筈よ。私はこの牢獄から出るからね。聞いているの?!」





血達磨になって息絶え倒れている旦那を見向きもせず、白いワンピースに着替えた愛人が寺の外に出て、外灯の下、真っ直ぐに門を目指すが、誰一人として愛人の行く手を阻む者はおらず、寺の境内は不気味な闇の静けさに包まれている。





愛人が番兵もいない山門を凛とした表情を作って堂々と潜った刹那、旦那が掘った落とし穴に足を取られ、そのまま落下して、無数の竹槍に全身を串刺しにされ、断末魔の絶叫を上げた後、血走った眼を見開いたまま愛人は息絶えた。

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