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恋愛実践録160
旦那が天井裏に潜り込んで奇襲をかける作戦に、自ら疑問符を差し挟み、自問自答する。
深夜、熱が引き病状が回復して、重い身体を引きずるようにバットと懐中電灯を手にした旦那が動き出した。
軋み音が立つ渡り廊下を避け、天井裏から忍び込み奇襲をかける作戦だが、天井裏に忍び込む直前、その作戦に旦那は疑問符を差し挟み、暗がりの中自問自答する。
「天井裏は渡り廊下よりも暗く、いくら懐中電灯があっても方角を見失い移動困難であり、音ももっと激しく鳴り、下手すると足が抜ける可能性もあり、あの女に筒抜けになるのではないのか?」
「それは当然そうだが、でも渡り廊下を歩いて探索すれば、相手がその音を頼りに敵地の優位を利し待ち伏せして、奇襲される可能性が高まるじゃないか。天井裏にいれば、例え相手がその物音に気がついても、奇襲する事はほぼ不可能に近く、その分、もし相手が天井裏に昇って来たら、目敏く迎撃出来るのではないのか?」
「それはそうだが、ここはとにかく天井裏に潜り込んでみて、構造がどうなっているのか、見分するしかあるまい?」
「分かった…」