恋愛実践録151
「そんなの当たり前だ。相手を嘗めてかかったら痛い思いをするだけだぞ」と旦那は打撲傷に塗り薬を塗りながら自問自答を繰り返す。
救急箱から出した塗り薬を打撲傷に塗りその痛みに顔をしかめ、自分の愚かさを歎き、旦那が自問自答を繰り返す。
「何故忍び寄って不意打ちを食らわせば良かったものを、よりによって雄叫びなど上げたのだ?」
「相手がどの程度備えをしているのか、様子を見たかったのだ。それにどうにも逸る気持ちが雄叫びとなって現れてしまった…」
「結果として、これで相手は警戒心を強め、余程の戦術を取らない限りは不意打ちは不可能、無理な話しになったな?」
「仕方ない。やはり最初の戦術に戻って寝込みを襲って寝首をかくしかないか?」
「その戦法を取るにしても、事前に寺に忍び込んで、相手が寝ている部屋の配置や、内部構造をつぶさに下調べしてから、戦術を練り上げ、決行するしかあるまい」
「こうなると持久戦の様相を呈するわけだな?」
「食料と水は配給されるから、長期戦を覚悟で何とか神経戦に勝ち抜き、勝負をつけるしかないだろうな」
「分かった。しかし石が当たると想像以上に痛いな、激痛だ」
「そんなの当たり前だ。命懸けの相手を嘗めてかかったら痛い思いをするだけだぞ」
「分かった…」




