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恋愛実践録15

「ちょっと待って下さい。これは最初から計画していた事柄なのですか?」とホスト亭主が客に詰め寄った。

再びタクシーを拾う為に駅方面に移動しながら、ホスト亭主が事の推移に戸惑い、狼狽するのを隠せないままに反論する。





「ちょっと待って下さい。自分はホストとしての営業擬似恋愛を貴女に提供する事が仕事であって、貴女の為に不倫の相手に復讐すると言うのはその範疇に入っていませんよね?」





客が血走った眼を潤ませつつホスト亭主の意見に反論を重ねる。





「いえ、それは拡大解釈すれば十分金で買った営業擬似恋愛の、ホストとしての店外デートの範疇に入った事柄ですよね。と言うか、宣誓を交わした禁止事項はお互いに惚れてはならないと言う項目しか無いのだし?」





「しかしそれはホストとしての営業外の事柄であり、便利屋じみた仕事の範疇に入っているじゃありませんか?」




ホスト亭主に歩調を合わせながら、客が首を振り答える。





「いえ、あの愛人は無類のホスト好きなのです。だから貴方が営業の一環として、あの愛人を巧みに誘い出して、惚れさせ、棄てればホストの仕事そのものであり、何も問題は無いじゃありませんか?」





眉をひそめホスト亭主が詰め寄るように質問する。





「ちょっと待って下さい。これは最初から計画していた事柄なのですか?」





充血した眼に涙を一杯溜め、それを指でひとしきり拭い、微笑みつつ客が答える。





「ええ、そうですね。これで私の悪どい本性が分かったでしょう。だから貴方は金で買われた私との擬似恋愛を畢竟宣誓を破らずに貫く事が出来る上に、どうせ営業上で棄て去る顧客も一人確保出来るのですから、一挙両得ではありませんか?」




ホスト亭主が緊張感をほぐすように息を吐き出してから尋ねる。





「しかし、仮に復讐するにしても、どうやって相手にコンタクトすればいいのですか?」




客がすかさずホスト亭主にメモを差し出し言った。





「このメモに愛人の電話番号とメアドが書いてあります。後の細かいシナリオは貴方が考案して、首尾よく陥れて下さい。よろしくお願いします」

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