恋愛実践録144
相手の寝首をかく事に全神経を払う局面ならば、相手を殺すまでは不眠不休も覚悟で事に臨むしかあるまい」と旦那は自分を奮い立たせた。
旦那が戦略を練る為に寝転がったまま自問自答を繰り返す。
「愛人を殺すには、あいつが寝ている時が一番だろう?」
「それは相手もその戦略で来るのは間違いないと思うから、つまり先に寝た方が負けという事だろう。だが所詮人は不眠不休で動き回る事は出来ない不可能だから、夜は二人とも眠ってしまい、殺し合いにはならないという珍現象も当然起こり得るので、先に寝てしまえば終わりではなく、朝方、寝過ごした者が命が無いと言った方がここでは適切だろうな」
「つまり夜に殺し合いはなされないという可能性が高いという構図か?」
「その可能性は確実に高いと思う。と言うか眠る時は二階の鍵の掛かる部屋を選び、外部からの侵入を防ぐしかあるまいな」
「それはそうだが、屋根裏から襲って来る可能性があるだろう。それはどうやって防ぐ?のだ」
「ドアから入って来るよりは遥かにビハインドがあるから、それは物音が立ち気付く可能性も高いからそれ程心配するに及ぶまい。とにかく先手必勝、相手の寝首をかく事に全神経を払う局面ならば、相手を殺すまでは不眠不休も覚悟で事に臨むしかあるまい」
「分かった」




