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恋愛実践録143
「旦那の寝首を取るしか勝ち目はないわ」と愛人は自問自答を繰り返す。
八方塞がりの状況の中で、愛人が殺人ゲームに乗るべきかどうかの自問自答を繰り返す。
「このゲームに乗ったとて、あの極悪本妻は私の事などどうせ殺すつもりでいるに違いない。ならばこのゲームは乗るだけ無駄なのではないか?」
「それはそうだが、旦那は自分が助かりたい一心で私を襲って来るに違いないならば、それに対する応戦は絶対に必要であり、ならば殺し合いを免れる事は出来ないのではないのかしら?」
「何が言いたいの?」
「つまり貴女がこのゲームに乗り気じゃなくても、旦那が貴女を自分が助かりたい一心で襲って来たら、応戦するしか無いと私は言っているのよ。それならば殺される前に殺す理由は必然的に生まれるじゃない。だからこのゲームには否応なしに乗るしか無いと思うのよ。違うかしら?」
「そうね。逃げられるかどうかの問題は後回しにしても、ここは先手必勝よね」
「どうやって殺すの?」
「寝首を取るしか勝ち目はないわ」
「先に寝た方が負けという事ね…」




