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恋愛実践録140
坊主頭にされた愛人が孤立無援の生活に音を上げ「お母様、助けて」と啜り泣く。
寺を改築して牢獄と化した建物。
至るところに交代制の見張りが張り付き、猫の子一匹とて通れない様となっている。
穴を掘り終えた旦那は離れの一室に幽閉隔離され、愛人は本堂の伽藍に面した部屋に幽閉された。
坊主頭にされた愛人の入浴は週に二回だけ許され、後は簡素な食事と水だけを与えられる孤立無援の窮状生活。
その筆舌に尽くし難い寂しさに、甘やかされて育った愛人は「お母様、助けて」と歎き啜り泣くだけの有様が続いている。
それはあたかも自宅に取り残され、悲嘆に暮れていた客の惨状をそのまま生き写しにした構図であると言えよう。
部屋から外に出てトイレに行く時も厳重なる見張りがつき、その見張りに「お母様は何処にいるの、会わせて?」と哀願しても、全く無視され、尻を蹴られ、転倒して泣きじゃくる。
そんな状況が続いている。




