恋愛実践録137
「その可能性も無きにしもあらずね。例えば援助交際が発覚しても、親として大上段にそれはいけない事だから止めなさいと、言えない苦しい立場に追い込まれているのよ。分かって、貴方…」と妻がホスト亭主に訴えた。
ホスト亭主が上体を起こして、コップから水を飲んでいる時、度重なる心労で神経をやられている妻が切り出した。
「あの子が援交を匂わすような事を言い出しているのよ」
ホスト亭主が驚く。
「あの子はまだ小学生だぞ。援助交際もあるまい?」
妻が首を振りホスト亭主の一般論を否定する。
「今の子は早いから、その言葉は通用しないわ。あの子は今回の騒動も貴方の浮気が原因だと思っているし…」
ホスト亭主が顔を上気させ、いきり立つ。
「俺は浮気なんかしていないぞ、生活の糧を稼ぐ為に仕事しているのだ。ふざけるな!」
妻がホスト亭主を制止してから言う。
「その言葉もあの子には通用しないわ。特殊な職業の内部事情なんて、実際問題その仕事をやってみなければ分からないし。それを理解する方が逆に異常とも言えるじゃない。貴方は生活の為に浮気をしている。だから生活の為ならば援助交際もしてもいいというこじつけの論法なのよ」
ホスト亭主が興奮して眼を剥き怒鳴る。
「あの子は現在進行形で援助交際をしているのか?!」
妻が頷き答える。
「その可能性も無きにしもあらずね。例えば援助交際が発覚しても、親として大上段にそれはいけない事だから止めなさいと、言えない苦しい立場に追い込まれているのよ。分かって、貴方…」




