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恋愛実践録133

「お父様、何を言っているの。お父様は私とこの阿婆擦れのどちらを取るの、お父様?!」と愛人は父親に縋り付いた。

ひたすら震え嗚咽している旦那を配下の者が襟首を掴み引っ立て、情け容赦なくマンションの外に連れだし、父親がその憤怒を愛人に向ける。





「わしはお前に他人のものを略奪して悦ぶ悪魔の如く所業を教育した覚えはないぞ。何が略奪愛だ。そんなもの愛でも何でも無いわ。単なる泥棒猫の所業ではないか。馬鹿者!」





涙を流しうろたえていた愛人が、ひとしきり涙を拭い、開き直って、客を指差しヒステリックに喚いた。





「その女こそ、お母様からお父様を略奪した悪魔じゃない。お父様そうよね!」





父親が首を振り鋭い口調で答える。





「お前に最愛の夫を略奪されたからこそ、その仇を取る為にこの人はわしをお前から略奪したのじゃ。わしはそのあっぱれ清廉潔白さに惚れたのじゃ」





愛人が反発する。





「それだって卑劣な略奪愛じゃない。お父様!」





父親がドスの利いた冷静な口調で言い放つ。




「お前に最愛の人を奪われた者の苦しみを知らしめる為に、この人はわしをお前から略奪し、まとこ敵討ちの本懐遂げたのじゃ。正にそれは清廉潔白なる敵討ちであり、略奪愛などではけしてなく、わしはその心意気にひたすら涙し、惚れたのじゃ。分かるか、愚か者め」





愛人が泣きじゃくりながら訴える。





「お父様、何を言っているの。お父様は私とこの阿婆擦れのどちらを取るの、お父様?!」





父親が愛人を睨み据え言い放つ。





「当然わしはこの最愛の人を取る。お前は勘当じゃ、監視付きの寺に入り蟄居謹慎、尼になれ。分かったな」

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