恋愛実践録124
愛人の取る神経戦戦術は、警察は事件が起きないと重い腰を上げないという悪習を逆手に取って、直接手を下さない脅迫戦術で死体の山を築き上げている。
悲惨な無理心中がテレビ報道された直後、ホスト亭主の電話に(早く自殺しろ!)と脅すメールが届いた。
仮に自分が自殺したとしても、家族が助かる保証は一切無い。
と言うよりも、最前報道された無理心中と同じ定めを辿るに違いない。
そう思うと、ホスト亭主はやるせなさにうなだれ、涙ぐみ深くため息をついた。
正に泥沼の応酬戦に巻き込まれて、ほうほうの呈と言った案配だ。
四面楚歌の中、身動きが取れず、心身共に限界を感じ疲労困憊している。
愛人が取っている神経戦戦術は、脅しや恫喝を駆使して、相手を完膚なきまでに追い込み、逃げ場を潰して自殺させる戦法だ。
警察は事件が起きないと重い腰を上げないという悪習を逆手に取って、直接手を下さない方法で死体の山を築き上げている。
そして下手に客と連絡が取れない分だけ、ホスト亭主の眼には明らかに形勢は不利だと映り、客自身も防戦一方、ひたすら窮地に追い込まれているようにしか感じない。
だが、そんな状況の中でも、ホスト亭主は気力を振り絞り、客との宣誓を守り通し、命の炎を燃やして、非力ながらも家族を護り通している。
そんな状況が続いている。




