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恋愛実践録122

そこにはいつもと変わらぬ平穏なる日常風景が広がっているだけで、その様変わりしない日常風景こそが、逆にホスト亭主の神経を蝕んでいる。

「おはようございます」」




「おはよう」




朝の挨拶を交わし、すれ違う全ての者がホスト亭主の眼には怪しく見える。





快晴の朝。





登校班の最後尾に張り付き、整然と行進する色とりどりのランドセルを背負った子供達に追従し、ホスト亭主は寝不足の眼を擦りながら緊張感を以って歩いているのだが、敵の襲って来る気配は微塵もなく、それが逆にホスト亭主の猜疑心を深めて行く結果をもたらしている。





敵はこの四面楚歌の状況の中で、こちらが疲弊し憔悴し切るのを待っているのだ。





そして自分の護る力が失せたところで(早く自殺しろ。さもなくば本当に家族を殺すぞ)と再度脅しをかけて来るに違いない。





だから敵が十中八九襲って来ないのは分かっているのだが、かと言って護りを解く訳にも行かない苛立ちばかりが先行する神経戦の真っ只中、敵の狙いはあくまでも自分を悩ませ自殺に追い込む脅迫の手口であり、襲って来ないその事実が、裏腹にそれを物語っている事となる。




緊迫した状況が続き、体調が崩れ身体を蝕み神経をやられ、それに耐えられなくなって自分が自殺するのを、敵はてぐすね引き待っているのだ。




そう考えると、一つ武者震いし、悔しさに唇を噛み締めて、血走った眼差しで町並みを睨みつけるのだが、そこにはいつもと変わらぬ平穏なる日常風景が広がっているだけで、その様変わりしない日常風景こそが、逆にホスト亭主の神経を蝕んでいる。





そんな緊迫した状況が続いている。

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