恋愛実践録112
元ボディーガードのリーダーは発狂して客に助けを求める為に連絡しようとする右手を、咄嗟に左手で掴み、大声で「そんな事をしたら皆殺しだ!」と喚き、自制して自問自答をしている引き攣るようなジレンマが続いている。
事実上組織をクビになり、蟄居謹慎を言い渡された、元ボディーガードのリーダーは、一族郎党皆殺しを恐れ、ひたすら音無しの構えで固唾を飲みながら居住まいを質している。
まさか愛人がここまでするとは、予想外だったと元リーダーは恐れおののいている。
当然己とその一族の命運が懸かっている状況の中で、客への音信は断っているのだが、正直形勢が逆転した今、客への忠誠心も確実に薄れているのを元リーダーは感じている。
我が命と、家族の命が最優先であり、それを冒す行いは、如何なる行いも慎むべきだと肝に銘じている、そんな緊迫感溢れる不気味な状況が続いている。
しかし失業した今、雇用保険を使い失業者手当を貰いながら、求職活動を兼ねて家族を養っているのだが、それにも限界を感じており、後悔と自責の念に鬱状態となり、ノイローゼ状態の日々が続いている。
発狂して客に助けを求める為に連絡しようとする右手を、咄嗟に左手で掴み、大声で「そんな事をしたら皆殺しだ!」と喚き、自制して自問自答をしている引き攣るようなジレンマが続いている。




