恋愛実践録107
「罠に堕ちた振りをして、逆に罠に嵌め、最後には己の仕掛けた罠に嵌まるの愚かしい典型だな?」と旦那は言った。
旦那が再度確認するように、しきりに頷き言った。
「そうだな。懐柔作や人質作戦を、その都度機転良く柔軟に効かせて、新たに配下を刷新して行けば、裏切り者はいなくなるからな。そこら辺りは抜かりなく、行っているわけだ、姫?」
愛人が恭しく頷き言った。
「興信所はそういう類の調査を最も得意とするから万全よね。これで粛清、刷新が上手くいけば、本妻の奇襲撹乱戦法は水の泡、こちらは組織自体の再強化を図る事が出来て、その強化が終了したら、大挙して本妻を木っ端みじんにすれば良いのよ。それだけの話しなのよ」
勝ち誇るように微笑み旦那が言った。
「災い転じて福となすの典型的な類例だな。姫、やるじゃないか?」
「私はただじっくりと腰を据えて油断大敵をおもんばかり、この作戦を取ったまでよ。だから本妻は私に教訓を与えてくれたから、逆の意味で感謝しているわ」
旦那が面白がり言った。
「罠に堕ちた振りをして、逆に罠に嵌め、最後には己の仕掛けた罠に嵌まるの愚かしい典型だな?」
愛人が素っ気なく頷き答える。
「その通りね。所詮あの本妻は愚か者なのよ」




