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恋愛実践録104

そして熾烈なる勝負に仮に勝ち、敵討ちを果たした後、客はどうなるのだろうかと考えると、そこには悲しみと寂しさしかなく、ホスト亭主は密かに客がするのと同じように熱く涙ぐみ、それを順番に指で拭い、吹っ切るように歩き出し、仕事に向かった。

自分が暴行リンチを受けて、警察に届けなかった事は、客に利を与える意味で正解だったとホスト亭主は判断した。





そして余計な事は一切口に出さず影に徹し、家族を護る為にひたすら仕事に精を出す。





それこそが命懸けで自分を護ってくれているであろう客に対する恩返しだと、ホスト亭主は念じる。





今現在、客と愛人の間で水面下で熾烈に交わされているであろう戦いを、客と交わした誓約に則り、影となって見届けるしか己に出来る事はないのだと、ホスト亭主は自分に言い聞かせる。




薄い氷の上を歩いているような三竦みの状況の中で、危うく命脈を保っているのが自分の命ならば、その命脈を影となって守り通す事こそが、客への恩返しだとホスト亭主は考える。




だから命懸けで戦いを見届ける影に徹する事は、客と離れた今現在も続いており、勝負に負けて薄い氷が破れれば、自分の命共々客の命も無いだろうとホスト亭主は考える。





ならば影は影らしく手を出さず、口も閉ざし、勝負に勝つ事のみを祈願しながら徹するしか道は無い。





そして熾烈なる勝負に仮に勝ち、敵討ちを果たした後、客はどうなるのだろうかと考えると、そこには悲しみと寂しさしかなく、ホスト亭主は密かに客がするのと同じように熱く涙ぐみ、それを順番に指で拭い、吹っ切るように歩き出し、仕事に向かった。

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