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恋愛実践録100

客の繰り出した撹乱分断工作は、情報戦にも微妙な影を落とし始めた。

客の繰り出した撹乱分断工作は、情報戦にも微妙な影を落とし始めた。





組織の中で蔓延する疑心暗鬼は、交錯入手する情報そのものを信じる事が出来なくなる効果をもたらしており、トップでその情報を取捨選択分別する愛人をも、入手する情報に猜疑心しか抱けなくなっている状況が続いている。





ソファーに座って煙草を燻らし、渋面を作っている旦那に向かって愛人が告げる。




「本妻が何処まで人脈を伸ばしているのか、金の流れがどうなっているのか、多方面のルートから情報は入って来るけれども、どの情報も全部出来レースじみていて撹乱戦法にしか思えないし、信じられないわ。これじゃにっちもさっちも行かず、組織全体が動きに動けず麻痺状態ね」





旦那が眉をひそめ言った。





「でもその入手する情報の中には本当の情報も当然あるのじゃないの、姫?」





愛人が忌ま忌ましげに顔をしかめ答える。





「だからそれさえも信じられなくなっているのよ。あの小癪な本妻のせいでね…」




旦那が腕を組み、せわしなく瞬きをしてから言った。





「全員敵にしか思えないという事か。一層の事、その筋に依頼して、二人とも一思いに闇から闇に葬ってしまうというのはどうかな、姫?」





愛人が首を振り否定する。





「その手の筋も仮に敵だったら、貴方どうするつもり?」



旦那が悔しげに鼻で息を吐きだし言った。





「その目もありか。うーん、困ったものだな。何か打開策はないのかな、姫?」





愛人が険しい目付きをして答える。





「とにかくここは静観して、内通している者が尻尾を出すのを待ち、あのホストへの監視を強め、本妻の出方を見るしかないのよ」





「でもその入って来る情報も信じられなくなっているじゃないか、姫?」





愛人が目くじらを立てて言った。





「でもそれしか今取れる方法がないじゃない。違うの!」





旦那が渋面を崩し苦笑いしてから言った。





「そうだな。罠に嵌めたつもりが、まんまと罠に嵌まり、にっちもさっちも行かなくなったと言う事か。小癪だがそれは認めるしかない状況か…」




愛人が恨めしげに頷き言った。





「とにかく今は音無しの構えで、機が熟すのを待つしかないのよ。悔しけれど仕方ないのよ」

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