再開
新品の制服に身を包み廊下を歩くキョウヤ。
「今日から俺の新しい第一歩だ」
そうつぶやき少し歩調を早めるキョウヤ。
「おっ、キョウヤじゃねぇか!」
と、背後から聞きなれた声がする。
振り返ると茶髪で爽快な笑顔を貼りつけた少年が立っていた。
「ケントか、よぉ」
キョウヤは嬉しさを必死に抑えぶっきらぼうに言った。
なぜかケントには嬉しさがばれてはいけないと本能で察知したのである。
「オレは今から特別クラスに行かないといけないからまた後でな」
そう言い、去ろうとしたキョウヤだがケントの口から意外な言葉が飛び出してきた。
「俺も特別クラスなんだよ。なんかさ判断ミスだの命令違反だのわけのわからないことを言われてここに来たんだ。それに俺は編入テストを受けてないのに編入確定っておかしくないか?」
キョウヤはそれを聞き疑問を浮かべた。
「え?お前何言ってるんだ?テストならちゃんと受けたぞ…」
「え?そうなのか…?俺には全く記憶がないんだけど…」
キョウヤはひとつの可能性を思い浮かべた。
ケントは自身と同じく記憶を無くしてしまったんだと。
道理でこんなにテンションが高いのかと思った。
仲間を殺したにもかかわらずこのテンション、記憶が無ければ当然かとキョウヤは思った。
そうこうしている間にクラスの前についた二人。
「ドキドキするな、キョウヤ。ここから俺たちの青春が始まるんだ」
「バカなこと言ってないで入るぞ」
そう言い扉を開けるキョウヤ。
クラスを一目見て唖然とした。
「なんだ、このクラスは…!?」
だがそんなことを考える前に担任教師である女性が自己紹介を促してきた。
「アケボシキョウヤだ、ヨロシク」
そう淡白に挨拶をするキョウヤ。
クラスの奴らがそれだけか…?という目線を送っているが気にしないでおこうとキョウヤは誓った。
「ヤマイケントです!ヨロシクな!キョウヤともども仲良くしてくれよ!」
(おい、そこでどうしてオレの名前を出す…!?)
キョウヤは目線だけで人を殺せるような鋭いまなざしでケントをにらんだがケントはお構いなしに自己紹介を続けていった。
ケントの長々とした自己紹介が終わり(時間にしておよそ10分、あまりにも長いので担任が区切りを付けた)これからのことを考えていたキョウヤ。
できることなら平凡に過ごしたいと考えていたがその考えをいとも容易く打ち崩す言葉が担任から告げられるとはその時のキョウヤは思ってもみなかった。
「え~と、この二人がこのクラスに編入してきたのは何とほかでもなく編入試験でデーモンを倒したからなのです!」
『はぁ!?』
キョウヤとケントは二人同時に叫んだ。
キョウヤは平凡を打ち崩すであろう無駄情報を言われたため、ケントは自分がデーモンを倒したと言われたために叫んだのだ。
「みんなの噂だった二人が同じクラスなんて嬉しいですよね!?みんな仲良くしてね!」
そう言い残し担任は去って行った、黒板に自習という文字を書き残して…。