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終焉ペレストロイカ  作者: 如月ライト
第17章「イリヤの本心」
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対処法

「マリナの異能解説コ~ナ~!」

「わぁ~ぱちぱち」

「あ、ケント。いたんですか」

「何その哀れみの視線!?」

「哀れみもするです、自分の格好分かってないです?」

「え?」

「今ケント、こんな可愛いマリナちゃんの前で粗末な裸体をさらしてるんですよ?死にたくならないのです?」

「え!?俺今裸だったの!?ちゃんと服着てるよ!」

「…と、言う感じで変態ケントと一緒なんて死んでも嫌ですけど…うえがやれってうるさいのですよ…」

「なにか聞こえてはいけない言葉が…」

「さて、今日のゲストはユキなんですけど…さっきからずっとしゃべってくれないのです…」

「…むぅ…だってお兄ちゃんいないもん…」

「子供みたいにブスッとしてるです、さっきからずっとこんな調子です。ホントお子様なのです!」

「お子様のマリナに言われたくないよ!私大人だよ!」

「ま、マリナちゃんがお子様…!?お、おかしいのです!ユキの方がマリナちゃんよりお子様です!」

「いやいや、そんなことはどうでもいいから…早く解説始めちゃってよ」

「だからいやだって!お兄ちゃんがいるからってここにきたのに…お兄ちゃんいなかったら帰るもん!」

「ユキ、ちゃんと周りを見るのです。キョウヤはいるのです!」

「え?お兄ちゃん!?どこ、どこなの!?」

「喋ってないけどたぶんいるのです!ケントが裸なのと同じでここにいるって言っておけばいるのと同じです!」

「そっか‥‥って納得するわけないでしょ!バカ―!」

「ま、マリナちゃんに向かってバカって…ちょっと表でるです!決着付けるです!」

「望むところなんだから!」

「だからやーめーろーよー!…って尺が!?もう尺g」


「さて…どうしたモノか…」

俺は舌なめずりをし虚空から愛用の刃を取り出す。

まるで俺が持つためだけに存在しているようなそれはぴったりと俺の手に吸いついてくる。

鈍色の光を放ちながら俺は完全に刃を抜き出した。

「お兄ちゃんのそれ…いつ見ても綺麗でかっこいいなぁ…」

ユキはそんな俺の様子を見て感嘆の息を洩らす。

と、今はそんなことをしている暇はない。

目の前には人形でできた竜、そしてゴスロリ金髪娘。

人数的にはこちらが4人と有利であるように見えるがあちらの戦闘力は未知数だ。

油断すればすぐにやられるだろう。

「キョウヤ…指示が欲しいのです」

マリナはいつもの幼顔から一転、しっかりとした顔で俺を見つめてくる。

こいつも本気なんだと改めて思ってしまう。

「ちょっと待て、迂闊に攻め込んでもダメだ…まずはお互いが持ってる情報の交換だ」

的確に必要な個所だけをお互いに知らせ合う。

ここで出てきたことをまとめてみよう。

まずあいつには炎も氷もきかないということ。

燃やしてもほぼ無傷だったらしい。

氷は口から吐き出される炎によって無力化されてしまう。

次にアイツの足には火薬のようなものが仕掛けられているということ。

俺が足元から崩そうと切り込んだところ飛び出してきた綿が爆発した。

あまり火力は大きくなかったが何度もあれを食らえばたまったものじゃない。

今のところこれ以外有力な情報が引き出せていない。

(これだけじゃまずいな…)

やはりここは全員で一斉に仕掛けるしかないのか。

しかしリスクも高い。

「キョウヤ、何考えてるかわかるぜ。一斉攻撃なんだろ?俺たちだってそう簡単につぶされるたまじゃねぇってことぐらいお前も知ってるだろ?」

自信に満ちた表情を俺に向けながらケントがそう言ってきた。

声の端々からも明らかに自身が満ち溢れている。

「まぁそうだが…でもユキたちは…」

と、俺はそこで言葉を中断した。

ユキもマリナも俺をまっすぐに見据えていたからだ。

その瞳には明らかに強い意志が込められていた。

「…そうだな、俺たちでやるしかない、か…」

俺はあきれ気味に苦笑を洩らす。

もう一度しっかりと剣を握りなおすと俺は声を張り上げた。

「よしっ!お前らいくぞ!」

俺のその声に導かれるように戦闘が始まった。


「お兄ちゃん!左に避けて!炎、くるよ!」

「おう!…ッと、マリナ、そこで一発食らわせてやれ!」

「わかってるです!キョウヤの指示が無くても、やれるのです!」

正直に言って俺たちのコンビネーションは最高だった。

俺とケントが近距離で攻撃を仕掛ける。

ユキとマリナは後方からバックアップだ。

遠距離攻撃、俺たちへの指示が主なバックアップの仕事だ。

コツコツと攻撃を続けているがドラゴンの体力はまだまだ減らない様だった。

ところどころが黒く焦げていたり切れ目から綿が漏れ出ていてもアイツは攻撃をやめることはなかった。

「くっ…これは結構ヤバいかもな…」

俺たちの体力はことごとく削られていた。

攻撃を入れては逃げるを繰り返していたがそれでも体力は持っていかれるものだ。

俺もケントもだんだんと息が上がっているのが分かった。

「キョウヤ…これ、いつまで続ける気だ…?」

ケントは少し顔を歪めて俺に尋ねる。

ケントの体力ではもう限界なようだ。

ふと俺の頭に何かがよぎる。

親を潰せば人形は動作をやめる。

イリヤはほぼ目前にいる、ならこの方法を試すしかない。

「ケント…お前、こいつを引き付けておいてくれ…俺はイリヤを潰してくる…」

ケントはこくりと小さくうなずく。

「ユキ!お前も来てくれ!イリヤを潰す!」

「オッケーだよ、お兄ちゃん!」

ユキは異能の力で発動させた氷の槍を手に持ち俺に合流する。

イリヤは今手薄だ、この好機を逃しはしない。

さらに彼女はまだ俺たちが近づいていることに全く気付いていない様子。

絶好のチャンスだ。

俺は深く剣を握ると横なぎにイリヤに斬りかかる。

「はぁ…残念ですわ、お兄様…これがわたくしのトラップだと何故気づかないのです?」

「え?」

俺の後方でイリヤの声が上がった。

目の前に存在していたはずのカノジョは俺の横なぎを受けるとそのまま霧散してしまう。

まるで霧にとけこんでいくかのように霧散していく少女の姿。

「お兄ちゃん後ろ!」

が、俺の体が反射するより前に俺の首元には死がせまっていた。

俺の首筋に突き付けられたのは血を想像させるかのように真っ赤な鎌の切っ先。

少しでも動けば俺の頭と体が永遠にバイバイだ。

「お兄様、私があんなに隙だらけだと思いましたの?お兄様は判断力が欠けていらっしゃるの?」

俺の後ろから冷淡な声が聞こえてくる。

その声は死神を彷彿させた。

「お兄ちゃんから離れろ!」

ユキの威勢のいい声が聞こえる。

多分俺を助けるために躍起になっているようだ。

が、その声も俺の首筋に突き立てられた切っ先が少し肉をえぐるだけでおとなしくなってしまう。

びりびりとした痛みと共に首元に温かい液体が漏れる。

「わかっていませんの?私はもうお兄様にチェックメイトを打っているんですのよ?あなたみたいな似非(えせ)妹がどうこうしたところでお兄様が詰んでいるのは変わりないことですの」

遠くでユキが悔しさに息をのむ音が聞こえた。

「ではお兄様…すぐに楽にして差し上げますの…」

そう言ってイリヤは真っ赤な鎌を俺を殺すために引き絞った。


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