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終焉ペレストロイカ  作者: 如月ライト
第13章
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人形の群れ

「やっぱりきりがないぞ!俺たちにできるこいつらを止める方法が少なすぎる!」

この人形を止めるためにはすべての機能を停止させる必要があった。

そのため燃やす、凍らすといった攻撃方法が効果的だ。

効率が悪いが敵を細切れにすれば止まることもわかった。

そしてネムいわく最後の手段である人形遣いを行動停止にするという方法。

親機を潰せばというやつだ。

だがその最後の方法は現時点では不可能だった。

「キョウヤ!ちょっと頭下げて!」

ウサギの声が遠くから聞こえる。

俺は言われた通り頭を低くする。

一瞬のち俺の頭がさっきまであった場所を大量の銃弾が通る。

「後は頼んだよキョウヤ!」

俺は人形の頭が完全に銃弾で吹き飛んだことを確認してから自分が出せる最高速度で人形の身体をぶつ切りにしていく。

人形がただの塊に戻り地にぼとりと落ちる。

「ふぅ…一丁上がりだ…」

俺は一瞬で息を整えてまた違う人形に向き合う。

今までこの動作を何十回と繰り返した事か、さすがに皆の顔色からは疲労の色が見て取れた。

(何か…何か打開策は…)

そう思って俺は辺りを見渡す。

すると一軒の廃屋が目に付いた。

「おい、キラ!俺を援護してくれ!あの廃屋まで走るぞ!」

「え?廃屋…?…うん、わかった!」

キラは俺の言っている意味が分からなかったようだが俺を信じてついてきてくれた。

キラのおかげで俺はスムーズに廃屋までたどり着くことができた。

アイギスにより近付く敵はすべて跳ね返ってくれた。

「おじゃましま~す…」

俺はゆっくりとそのドアを開き中を確認する。

「ねぇセンパイ、どうしてこんなところに?何かあるっていうの?」

「まぁな…お!これかな…」

俺は小屋の中にあったあるモノを見つける。

「センパイ、なに見つけたの?」

「敵への反撃策だ」

俺はそう言ってにやりと笑った。


「じゃあ行くぞ…合図はさっきの通りだ」

「うん、センパイ…」

「3,2,1…いけ!」

俺が合図を明日とキラは打ち合わせ通りに空中に小さな袋を3つ投げる。

「ユキ!ウサギ!ネム!いったん退け!」

袋が宙に浮くと同時俺は3人に撤退の指令を出す。

3人はすかさず俺の言うことを聞きこちらの方へと走ってくる。

「キラ、袋の方はどうだ?」

「え~と…あ、裂けました!」

「じゃあもう一回投下するぞ」

袋は空中で破けて中から白い粉を吹き上げる。

まるで雪のように人形たちに降り積む。

キラはもう一度袋を投げ入れてその経過を待つ。

「どういうこと、お兄ちゃん?なんでいきなり撤退?」

「まぁみてりゃ分かるよ…ウサギ、次に放った袋に銃弾を当てろ、できるな?」

「当たり前じゃない!ウサギちゃんなめないで!」

ウサギはその胸を思いっきり張ってみせる。

その大きな胸がぼいんと大きく揺れた。

「よし、行けキラ」

キラはそれで最後になる大き目の袋を力いっぱい投げる。

「よし…ギリギリまでひきつけろよ…撃て!」

俺が合図を送ると同時ウサギは引き金を引いた。

放たれた銃弾が高速で飛んでいき袋を撃ちぬく。

その瞬間袋から火が上がり大爆発を起こす。

「ちょっとキョウヤ!?あ、あれ何!?」

「説明してよ、キョウヤ!」

「わ、私も説明が欲しいんだよお兄ちゃん!?」

何も知らない3人は俺の説明を求める。

「あれは粉塵爆発だ。ここにあった小麦粉を使わせてもらったんだ」

「あぁ…ふんじんばくはつねぇ…」

「おい、ウサギ。その顔ぜったいわかってねぇだろ」

「う、ば、ばれた…?」

俺がウサギのバカなやり取りで笑うとみんなもそれにつられて笑う。

なんだかとてもうれしくなった。


「でさ、キョウヤ…結構言い出しづらいんだけどさ…」

ネムは遠慮しがちに片手をあげて俺へとこう告げた。

「どんどん人形たちが溢れてきてるんだけど…」

俺ははっとしてさっき爆発させた場所を見る。

そこにはまた新しい人形の群れが出来ていた。

「ど、どうしようか…小麦粉はさっきので全部使っちゃったし…」

俺は慌てて策を見つけようとする。

しかし焦った頭は答えを見つけてくれるはずがなく時間だけが無情に過ぎていった。

「私に考えがあるの…って言うか私にやらせて」

ネムはすくっと立ち上がり俺の目を見る。

その目には明らかにゆるぎない意志がこもっていた。

「できれば他のみんなには見られたくないんだけどさ…私のことを気にせず先に行ってくれるかな…」

「え?でも…」

俺が躊躇っていると他のみんなは一様に立ち上がる。

「お、お前ら、何で…?」

「ネムちゃんあれやるんでしょ。なら私たちはお邪魔なだけだしね…」

ユキはそう言った後俺の手を取って引っ張っていく。

「ちょっとユキ!?何してるんだよ!ネムを一人になんて…」

「今はネムちゃん一人にしてあげて。今からはネムちゃんの独壇場だから、私達のバックなんていらないんだよ」

「どういうことだよ…」

「ネムちゃんの本気、って言ったらいいのかな?ネムちゃんの大技。それにはすごい集中力がいるから私たちはじゃまになるんだってさ」

それでも、俺は納得できなかった。

「ちゃんとネムちゃんに歌いきらせてあげて…」

今のユキの顔はとても真剣なモノだった。

特別な歌、それには自分たちはじゃま。

なら俺はネムのためにしてあげることを全力でやろう。

ネムの歌が成功するのを遠くから祈っておくんだ。

俺達は人形の隙間をかいくぐり先に進むことにした。

それがネムが望むことだと思ったから。


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