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終焉ペレストロイカ  作者: 如月ライト
プロローグ
1/79

ペレストロイカ

「はぁはぁ…」

少年は野を駆けていた。 その理由は他でもない逃亡である。

少年はなぜ逃亡しているのか?その理由は少し前に遡る。


少年は一国の兵士であった。その実力は誰もが認めるほどであった。

しかしある時の戦いで大けがを負い、敗走した。 少年は無事に生き残り帰還することができたが少年の友人は殺されてしまった。

その死にざまを見つめながら逃げることしかできなかった少年は後悔の念に囚われていた。


その翌日少年の友人のついていた場所に他の存在が入ってきた、彼はそれが酷く気に入らずそしてこう思った。

「オレたちは替えがきく上の言いなりの人間じゃないっ!なんでこうも使い捨てみたいにされないといけないんだ!?」

少年はこの戦いばかりの時代に違和感を覚えた。 そしてある日の戦で逃げ出すことを決意する。


時は今に戻り逃走を続ける少年。 その後ろには数体の悪魔がせまりつつあった。

悪魔は少年に向かい黒々とした炎を撃ちだした。

しかし少年はそれに負けないほどの炎を手から撃ちだした。 炎と炎が激突し爆発する。数秒の間視界に靄がかかった。

「チャンスだ!」

少年は一気に駆け出した、そして近くの茂みに隠れて息を殺す。


視界が開けてくると悪魔たちは周りを見渡しこう言った。

「そんなに遠くに行っていないはずだ、探し出せ!アイツはわが国にはなくてはならない兵士だ、早く探し出せ!」

少年はそれを聞きうんざりした、彼の今の顔を他人が見れば相当心配されるであろう顔をしていた。

「能力も使っちまったし、あとはこいつで何とかするしかないか…」

と、少年は自分の腰に装備している剣を抜きだした。


近くにいた悪魔が後ろを向いた一瞬の隙をつき少年は茂みから飛び出した。そして目にも止まらぬ速さで悪魔を切り捨てたのだった。

悪魔は断末魔の声を残すことなくその場に崩れ落ちた。少年はまた駆け出す。

目の前にいる悪魔が驚いたように目を丸くして慌てているところを切り捨てた、そしてそのわきにいた悪魔もまるで踊っているかのような華麗な流れで斬り落とした。

「あと一体か…」

悪魔は剣にも槍にも似たような武器を構え少年の方に向かってきた。

少年はそれを見るもまるで動じた様子はない。大きく腕を振りかぶりその悪魔めがけて持っていた剣を投擲する。

剣は悪魔の身体を貫いた。悪魔はその場に崩れ落ちるように倒れた。


それを見届けた少年は逃走を再開した。

どれだけ走っただろうかと思いふと少年は立ち止った。少年は自分の走ってきた道すら覚えていないほど全力で走っていた。

目の前には谷が見えていた。下を覗くと底には川が流れていた。

「ここまでくればもう…」

少年は安堵の息を吐き被っていた兜を脱ぎ捨てる。 しかし少年はこのときこの行為が自分の命を危ぶませるものだとは知らなかった。


「いや、気を抜いていたらダメだ、完全に逃げ切ったという保証はないんだから、もうちょっと進まないとな」

少年は自分に言い聞かせるように言ったが、体は言うことを聞いてくれなかった。

ここまで全力で走った後に止まるとさすがに動けるわけないかと少年は思い、この場で休むことを決めた。

疲労感がたまっていた少年は普段なら気付くであろう背後からの気配に気付けないでいた。


ゴツっ!という鈍い音とともに少年の頭に激痛が走った。

「なんだ…?」

よろけながら後ろを見ようとするももう一度頭を殴られ少年はさらにふらつく。

「くそ…!俺の人生これまでか…。 だが殺されるのはさらさらゴメンだ!」

そう言い少年は揺れる視界の中谷まで歩き、そしてそこから身を投げた。

こんなわけのわからない奴に殺されて、誰にも自分の死体を見つけてもらえないまま腐敗するなんてのはゴメンだ、と少年は消える世界を見ながら自分にそう言い聞かせた。


最後に谷上の自分を殺そうとした存在を見つめた。

そいつは唇の端を釣り上げ笑っていた、しかしどこか寂しそうな顔をしていた。

そこで少年の意識は永遠の闇の中に吸い込まれていった。


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