7. ドラフト
関西ナイツは、1990年代の半ばに2年連続リーグ優勝、その2年目は日本一にもなったが、以降は長く下位に低迷した。
その時期はドラフト会議においても、即戦力が見込まれてもスケール感には欠ける、社会人、大卒選手を上位指名することが多かった。
が、2010年代になって数年が経った頃から、関西ナイツは長期的な展望に経ってのチーム作りを志向するようになった。
高卒で実績もあり、大きな将来性が見込まれる選手を上位指名するようになったのである。
結果的に見れば、スカウト陣も優秀であったと言えよう。
それらの高卒選手たちは入団後数年で一軍レベルの実力を身につけ、関西ナイツは将来性豊かな若手選手たちが主力となるチームとなった。
そして、スーパーエース浜本、毎年3割を打つ中距離バッター石田という投打の軸の存在もあり、
九州レインボー全盛の時代の中で、2年連続リーグ優勝を果たし、その2年目は26年ぶりの日本一にも輝いた。
そのシーズンオフに石田がメジャーに移籍した。が翌年、本拠が甲子園球場と西宮球場。西宮市内決戦となった日本シリーズでは3勝4敗で摂津ペガサスに惜敗したが、3年連続リーグ優勝を成し遂げた。
その昨シーズンオフには、スーパーエース浜本もメジャーに移籍となり、流石にさらなる連覇は苦しいかと評されたが、
関西ナイツには、石田、浜本が抜けても、既にかなりの実績を残している若手選手が陸続として続いており、年齢的にそれらの選手の伸びしろを考慮するなら、関西ナイツの覇権はまだまだ続くという声も高かったのである。
しかし、今シーズン、それら若手主力選手の多くが昨シーズンから成績を落とし、関西ナイツは5位に沈んだのであった。
東京ジェネラルスは、やはりその豊富な資金力により、九州レインボーと並んで毎年多くの育成選手を指名した。
その傾向としては、かつての九州レインボーのように素材型に偏向というほどではないが、一芸に秀でている選手を取り、この多くの選手の中から将来一軍の戦力になる選手が何人か出てきたらという、ある種鷹揚なドラフト会議の指名方針と言えるかもしれない。
ただ昨シーズンオフのドラフト会議については、
支配下選手の指名で、球団史上初めて高校生の指名が皆無で、全員社会人、大学生の指名であり、それは長期的展望というよりは、今、若干弱い部門の選手層を厚くしておく、という意味合いの強いものであった。
そして今シーズン、その新人選手たちの多くが、球団の求めている働きをした。
摂津ペガサスは昨シーズン、レギュラー陣の平均年齢が比較的若いのに日本一となった。
この事実からも、この数年間のドラフト会議は成功の結果を生んだといえよう。
九州レインボー、関西ナイツ、東京ジェネラルス、摂津ペガサスとも、他の球団と比較しても、若い有望選手は多く、選手層も厚い。
今シーズンのドラフト会議では、大学生の二人。
サウスポーの田丸と、遊撃手の稲山が目玉で、
田丸には4球団、稲山には5球団の指名が集中した。
東京ジェネラルス、摂津ペガサスは田丸、
九州レインボーは稲山を1位指名。
関西ナイツはこの二人を避け、長距離打者が不在の現状を踏まえて、やはり大学生で強打の外野手を指名した。
が、千葉オーシャンとの競合となり、その抽選は外れた。
ジェネラルス、ペガサス、レインボーも抽選は外れ。
外れ1位で、
ジェネラルスは高校生遊撃手、
レインボーは高校生投手、
ペガサスは社会人投手、
ナイツは大学生外野手
を指名した。