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五月雨の失恋

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

檸檬のように爽やかで、ほろ苦い少女漫画があれば教えて下さい( ˙-˙ )

五月雨の季節が嫌いだった。長く続く優しい雨が嫌いだった。何時もこの季節になると、想い人は、決まって寂しそうな顔をするから。


近所の喫茶店で珈琲とレモンのケーキを嗜んでいた時の事、前に座る彼奴は窓硝子を眺めながら、吐息のような声色でポロリと口にした。

「今日も雨だね」

雨が降ると、彼奴は期待に満ちた、けれども何処か寂しそうな目で外を眺める。そんな風に期待を寄せたところで、その想いが成就する事は有り得ないのに。

此奴の想いを寄せる相手は人間じゃない。雨を司る、この世の物とは思えない程美しい顏をした神様だった。そもそも人間じゃない。それでもそう簡単に諦める事は出来ないようで、雨が降るともう一度、一目見たいと外を眺め続ける。

「……お前がどんなに思っても、その願いは叶わない」

「知ってるよ。だから、最後にもう一度、もう一度、お見えしたら、もうそれで良いの」

そう(うわごと)の様にぼやきながら、僅かに口角を上げる。

失恋しかけの底意地が悪い俺とは裏腹に、此奴があの方に向ける感情は何処までも無垢に澄んでいて、爽やかだった。まるで幻想恋愛小説の様に。

「あっ……」

小さな声音と同時に此奴は窓に掌を押し付ける。そうしてその一枚の硝子を挟んだ先に、此奴の想い人が立っていた。御前は此奴の掌に自分のものを重ね合わせるようにぺったりと押し付けると、ただ静かに微笑まれた。

束の間の時、御前は重ねていた掌を離し、踵を返して雨の中に溶けてしまった。その様をただ呆然と見詰める事しか出来ない今は、何処まで残酷なのだろう。

「帰ろう。お金払って、外に出よう」

「あぁ……」

扉一枚開いて見えた世界に涙はなかった。雲の切れ間から光が差し込んで、ただ都会を行き交う人々の足音だけが、静かに響き渡る。傘はもう必要なかった。ただ雨上がりの涼やかな風が頬を撫でる。

それは五月雨に経験したほろ苦い失恋だった。

檸檬の様に爽やかで、ほろ苦い少女漫画を探してるんですよ。もう読みたくて仕方がありません。


※とある曲の影響です。


という訳で書きました。

想い人は神様に恋してるし、でも人外だから報われないし、という三角関係になりました。

三角関係の良さはそのほろ苦さだと思うんですよ。

向ける感情は余りにも澄んでいる彼女と、失恋するかは諦めろという濁った彼との話。


皆が皆、報われないけれども、救われた話だとは思ってます。

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