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次話タイトルは『木津ヒイラギと木津シヤ』

 つぐみはブレスレットを撫でながら今日のことを思い返す。

 沙十美の姿を思い浮かべ、仰向けになって手を上へとかざしていく。

 品子の一連の騒ぎで沙十美にタルトリベンジの提案も出来ず、タイミングを見失っている間に彼女は先に帰ってしまっていた。


「お礼したかったのになぁ。……あ、そうだ!」


 がばりと起き上がり、時計を見る。

 時刻は午後四時半を少し過ぎたところだ。


「私も沙十美にプレゼントをしよう。同じお店でこっそり買ってサプライズだ!」


 今までの沙十美との会話では、店の場所は多木ノ町の駅から五分位の場所。

 雑貨屋であれば、そんなに早く店を閉めることはないだろう。

 沙十美の家の方向を考えれば、だいぶ範囲は絞れるはずだ。

 つぐみは駅に向かうため、家を飛び出していくのだった。


◇◇◇◇◇


 駅に着いたつぐみは、まずは彼女の家の方に向かってみることにする。

 夏の暑さのせいか、夕方とはいえ人は少なめだ。

 この駅は店舗自体があまりないようで、雑貨店らしきものは見当たらない。

 歩き回っているうちに、時刻は午後六時を過ぎつぐみはため息をつく。

 今日は諦めて帰ろう。

 明日、沙十美と会話をすればもっとヒントが得られるはずだ。

 気持ちを切り替えて歩き出したつぐみの耳に聞こえてきたのは、怒鳴り声と何かがガシャンとぶつけられた音。

 怖いと思う前に、つぐみはそちらに向かって走り出す。

 なぜならば聞こえた声は、間違いなく沙十美のものだったからだ。


◇◇◇◇◇


「痛っ! 止めてくれない!」


 先程いた場所から数メートル離れた曲がり角で、沙十美の声がする。

 沙十美とその相手に人が来たのを知らせるため、彼女の名前を大声で呼びながら声のする曲がり角まで走った。

 角を曲がった先で目にした光景につぐみの足は止まる。


 そこには荒い息をして、左の頬を押さえ立ちすくむ沙十美の姿。

 そしてそんな彼女の足元で倒れこんでいる中学生位の少女と、その子に駆け寄ろうとする少年の姿がそこにはあった。

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